調査/レポート

テレワークで生産性が低下する?原因と向上させる方法を解説

作成者: human_resocia|2022/12/02

新型コロナウイルス感染症をきっかけに広まったテレワーク(リモートワーク/在宅ワーク)は、現在では多くの企業で導入されています。

テレワークを推進するうえで気になるのが、「生産性」についてです。実際にテレワークを導入してみて、生産性についての変化や課題がでてくるcaseも多いのではないでしょうか。

テレワークでは、従業員の通勤時間をなくし、場所や時間など柔軟な働き方ができる一方で、コミュニケーション上の課題や仕事とプライベートの切り替えが難しいなどの課題もあります。

この記事では、テレワークにおける業務の生産性について、詳しく解説します。

 

テレワークで生産性は上がる?下がる?

テレワークでは、生産性が下がるケースもあれば、上がるケースも見られます。また、日本と海外ではテレワークにおける生産性の変化にも違いがあるようです。

 

 

国際調査では63%が生産性向上を実感

テレワークの生産性の変化については、海外と日本国内で違いが見られました。


レノボ・ジャパン合同会社」が実施した世界10か国を対象とした国際調査では、オフィス勤務と比較して在宅勤務の方が生産性が高くなったという回答が全体平均で63%と、高い割合に。


一方、日本では在宅勤務での生産性はオフィス勤務時よりも低下すると回答した割合が40%と、世界平均の13%を大きく上回り、10か国中最下位という結果が出ています。


日本でテレワークの生産性が低い理由として、同調査では、海外の企業に比べると日本企業はIT機器やソフトウェアへの投資を十分に行っておらず、環境整備が遅れていることが原因ではないかと分析しています。
経済産業省が2021年2月に公表した「コロナ禍の経済への影響に関する基礎データ」によれば、オフィス勤務と在宅勤務の生産性についての質問に対し「在宅勤務の方が生産性が低い」と回答した割合は労働者で82.0%、企業では92.3%という結果が出ており、現在の日本ではテレワークにおける生産性の低下を課題と感じているケースが少なくないようです。

 

 

生産性が向上した企業の事例

 

日本ではテレワークによって生産性が下がっていると感じている傾向が高かったものの、中には生産性が向上した企業の事例もあります。

たとえば、NTTコミュニケーションズがその一つです。NTTコミュニケーションズは、コロナ禍の2020年2月にいち早く全社テレワーク移行を実施。その後もテレワークを継続し、維持率は80%と高い数値です。

コレワーク推進によって従業員の満足度の向上が向上したほか、片道1時間の通勤時間がなくなったことで「従業員の勤務時間が増えた」といいます。

 

テレワークの生産性を下げてしまう要因

 

生産性が上がったケースもある一方で、生産性が下がってしまうのはなぜなのでしょうか?ここからは、テレワークの生産性を下げてしまう原因について解説します。

 

業務プロセスや労働状況の把握が難しい

テレワークで生産性が下がってしまう理由として、業務プロセスや労働状況の把握が難しいことが挙げられます。

オフィスでは同じ場所で仕事をすることで自然に従業員の仕事への取り組み方やプロセスを把握できていましたが、テレワークの場合はそれが難しくなります。

チームや一人ひとりの意欲が低下していることに気づかず、いつの間にか生産性が低下してしまっていたというケースもあるようです。

また、上司が部下の労働状況や業務プロセスを確認ができないことで「仕事の内容や成果が適切に評価されているかわからない」と、不安を感じる従業員も少なくありません。

出典元:第5回働く⼈の意識に関する調査(公益財団法⼈ ⽇本⽣産性本部)


公益財団法⼈ ⽇本⽣産性本部が行った「第5回働く⼈の意識に関する調査」によれば、テレワークの労務管理上の課題として「仕事の成果が適切に評価されるか不安」28.9%、「仕事振り(プロセス)が適切に評価されるか不安」28.4%、「オフィスで勤務する者との評価の公平性」23.7%など、評価に対する不安を感じている人が多いことがわかります。

 

コミュニケーションが難しい、不足しやすい

テレワークでのコミュニケーション不足・質の低下も、生産性を低下させる要因です。

コミュニケーションはテレワークの大きな課題であり、内閣府が公表した「第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」でも「画面を通じた情報のみによる コミュニケーション不足やストレス」を感じている人が多いことがわかります。

出典元:第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(内閣府)

オフィスに出社しているときは、上司・同僚・部下と気軽に雑談や相談ができる環境であったため、コミュニケーションが取りやすく、業務も円滑に進めることができました。

テレワークの場合、基本的には自宅などで一人で黙々と作業をこなすことになります。作業には集中できるものの、コミュニケーションが取りづらくなることで情報共有や意思疎通の頻度や質が下がることで、生産性の低下につながります。

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仕事とプライベートの切り替えができていない

オフィス勤務の場合、出社したらやるべきことは「仕事」のみです。一方、テレワークは自宅で仕事をすることも多く、仕事とプライベートの切り替えが難しくなります。

その結果、オフィス勤務よりテレワーク勤務の方が業務時間が長くなり、長時間勤務が常態化してしまいやすいのです。

日本労働組合総連合会が公表した「テレワークに関する調査2020」によれば、半数以上となる51.5%のテレワーカーが「通常の勤務よりも長時間労働になることがあった」と回答しています。

 

在宅での作業環境の整備が不十分


テレワークの作業環境も、生産性に影響します。

オフィスの場合、会社のパソコンやキーボード、マウスなどの周辺機器、デスクやオフィスチェア、プリンタなど快適に仕事ができる環境が整っていますが、自宅の環境は従業員によって異なります。

仕事をスムーズに進めるための設備や、集中できる環境が整っていないケースもあり、作業環境が悪いことで生産性が低下してしまっている可能性も考えられるでしょう。

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テレワークは勤務環境の整備が重要!ITシステム環境・作り方・必要なものを解説

 

テレワークで生産性を高める方法

テレワークで生産性が下がってしまったという声もある一方、生産性が上がったという声もあります。ここからは、テレワークで生産性を高めるための方法について解説します。

 

コミュニケーション環境を整える

オフィス勤務時と比べると、テレワーク時はコミュニケーションの機会が少なくなりがちです。コミュニケーションを取りやすい環境を整え、意識的にコミュニケーションの機会を増やしていきましょう。

適度なコミュニケーションを取ることでプロジェクトの進捗管理にも役立ち、報連相の滞りもなくせます。部下の不安感や孤独感を和らげるために、管理職や上司・リーダーとの1on1ミーティングも効果的です。

可能であれば、参加ハードルの低い雑談の場を設けておくと、コミュニケーションを促進できるでしょう。

勤怠管理のシステム化と評価制度の見直し

テレワーク時には、勤怠管理のシステム化と評価制度の見直しを行いましょう。オフィス勤務時と同じではなく、テレワークに適した内容に調整することで、生産性向上につなげられます。

業務内容を報告するための雛形を作成し、勤務態度を確認するといった方法も有効です。また、勤怠管理はテレワークで使いやすいシステムを導入すると、管理にかかる手間や時間を減らせます。

テレワークでは評価について不安を感じている従業員が少なくありません。オフィス勤務のときのように勤務態度や進捗での評価は難しくなるため、テレワークに合わせて評価制度を見直しましょう。成果物重視で評価すると、評価がしやすくなり、従業員の不満解消にもつながります。

ITツールを導入する

業務に必要なスペックを満たしたパソコンの貸し出しやインターネット環境の整備と合わせ、ITツールの導入も検討しましょう。

以下は、テレワーク時に活用できる代表的なツールです。

  •  社内でのコミュニケーションのためのチャットツール
  • タスク管理、プロジェクト進捗管理ツール
  • Web会議用のビデオチャットツール
  • 勤怠管理システムや労務管理システム
  • オンライン新人研修システム
  • 社内Q&A作成ツール
  • データを共有できるオンラインストレージ など

すでにITツールを導入しているものの有効活用できていない場合は、見直しを行いましょう。

ITツールにはいくつもの種類があるため、自社に適した機能があるものを選ぶのがおすすめです。ITツールの導入と合わせて、活用時のルールも設定しておくといいでしょう。

 

まとめ

テレワークという働き方自体は、仕事を求める求職者にとっても、優秀な人材を求める企業にとっても、多くのメリットがある働き方です。

今後はテレワーク導入の有無が企業競争力の要素になるとも考えられているため、テレワーク環境を維持しつつ、どのようにして生産性を向上させていくかということが企業にとって重要な課題であるといえるでしょう。

テレワークが広く浸透したこともあり、近年ではテレワークのためのさまざまなITツールが登場しています。目的に合わせてこれらのITツールを活用することも、生産性を高めるための有効な取り組みの一つです。

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