新型コロナウイルス感染症の影響により働き方の多様化が進んだことで、テレワーク(リモートワーク/在宅ワーク)は急速に広まりました。
テレワークは働く従業員にメリットがあるのはもちろんですが、「社員の生産性向上」「離職率の低下」「コスト削減」「優秀な人材の確保」「BCP対策」など多くのメリットがあります。
しかし、自宅はオフィスとは異なり、仕事をするための環境が整備されていないことがほとんどです。従業員が在宅でもオフィスと変わらず生産性の高い仕事ができるよう、しっかりとテレワーク環境を整備しましょう。
この記事では、テレワーク環境を整える重要性やテレワーク環境の作り方、システム環境などについて詳しく解説します。
テレワーク環境を整える重要性
テレワーク導入にあたっては、従業員が快適に働くための環境を整えることが大切です。
自宅やコワーキングスペースには、企業のオフィスのように業務に必要なものすべてが揃っているわけではありません。
生産性の維持や向上のためには、使いやすいパソコンや周辺機器が必要です。チャットツールや業務内容を見える化するツールを活用すれば、従業員同士のコミュニケーションを促進でき、業務効率低下を阻止できます。
また、テレワーク環境の整備は従業員の健康を守ることにも繋がります。
産業医科大学産業生態科学研究所が公表した「新型コロナウイルス流行に伴い急遽はじまったテレワークの健康影響」によれば、テレワーク環境では「孤立感が高まる」「身体活動量が低下する」「肩こりや腰痛」「新しいシステムに変化したことへのストレス」「健康問題による労働生産性の低下」などが、健康への懸念として挙げられています。
従業員が快適にテレワークを行える環境を整えることで、これらの懸念にも対処できるでしょう。
現代ではスマートフォンが広く普及している一方で、パソコンを持たない人もいます。スマートフォンやタブレットではパソコンと同じように作業できず、作業効率が低下してしまいます。
自宅の環境は従業員一人ひとり異なるため、テレワーク環境を一定の水準にするためには、テレワーク導入時は企業が環境整備をサポートする必要があるでしょう。
一般的に、テレワーク導入時のパソコン本体、インターネット環境の整備は、企業側が費用を負担するケースが多いようです。
パソコンや通信環境と合わせて、セキュリティ対策や勤怠管理を行うことで、テレワークの生産性向上につながります。
以下は、テレワーク中の従業員が感じている課題や、よくある悩みです。
- 集中できない
- 自己管理が難しい
- ストレスが溜まる
- やる気が起きない
- 生産性が下がる
- コミュニケーションが難しい
これらの悩みや課題は、何も対策せずにそのまま放置してしまうと、業務効率の低下や生産性の低下につながります。テレワークにおける生産性維持・向上のためにも、積極的な環境整備を行っていきましょう。
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厚生労働省も、作業環境整備の重要性について言及しています。
「自宅等でテレワークを行う際の作業環境整備」の中で提示されたガイドラインによれば、以下が自宅で仕事をする際の環境づくりのポイントです。
- 部屋(作業場所の確保、整理整頓)
- 窓(空気の入れ替え、ブラインドやカーテンの設置)
- 照明(作業に支障のない明るさにする)
- 冷房・暖房(湿度・室温の管理)
- パソコンの設定や周辺環境(デスクや椅子、キーボードやマウスの位置や操作性、ディスプレイの明るさなど)
テレワーク環境で必要なもの
テレワーク環境で必要なものは大きく「最低限必要なもの」と「より快適な環境にするためにあるといいもの」に分けられます。
最低限必要なもの
より快適な環境にするためにあるといいもの
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デスク
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椅子
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リストレスト、フットレスト
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モニタースタンド、モニターアーム
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デスクライト
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ノートパソコンスタンド など
イヤホン・ヘッドフォン、マイク、WebカメラなどWeb会議のための環境は、個別に揃えなくても、パソコンについているものを活用可能です。
ただし、在宅勤務だけでなくサテライトオフィスなどで仕事をする場合は、セキュリティ対策のためにもイヤホンやヘッドフォンが必要になるでしょう。
デスクや椅子などについては従業員の自宅にあるものを使うことになり、リストレスト、フットレストといった細かなものは必要に応じて従業員が自分自身で用意します。
すべてを企業側が用意するとなるとコストがかさんでしまうため、押さえるべき重要なポイントを把握し、環境整備のための費用を検討するといいでしょう。
テレワークで重要なインターネット環境整備
テレワークでは、パソコンやデスクといった物理的な作業環境も大切ですが、インターネット環境の整備も非常に重要です。ここでは中でも重要な「通信速度」と「セキュリティ対策」について解説します。
なお、インターネット環境については、従業員自身に自宅でインターネット環境を用意してもらうケースもあれば、企業側がモバイルWi-FiやVPNなどを用意することもあり、企業によって異なります。
通信速度
インターネット環境を整えるうえで、「通信速度」は非常に重要です。
目安としては、25Mbpほどの通信速度を確保しておくと、インターネットを活用したパソコン上での作業、メールのやり取り、動画の視聴、Web会議などもストレスなくスムーズに行えるでしょう。
ただし、作業内容によってはこれ以下の通信速度で十分なケースもありますし、逆にさらに早い速度が求められることもあります。
作成した動画をアップロードしたり、3D-CADデータなど大きなファイルサイズのデータを頻繁に送受信する場合、通信速度が遅いと送信に時間がかかってしまいます。大容量データを扱う場合は200Mbps以上があるといいでしょう。
作業内容に合わせて、適切な通信速度を見極めることで無駄なコストを抑えられます。
セキュリティ対策
テレワーク環境を考えるうえでは、セキュリティ対策も非常に重要なポイントの一つです。企業の機密情報や顧客の個人情報が漏洩することのないよう、万全の対策を行いましょう。
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ウイルス対策ソフトの導入
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安全な回線の使用
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多段階認証の導入
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データ暗号化
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セキュリティ対策のためのルールの策定
セキュリティ対策としては、上記のようなものがあります。
ウイルス対策ソフトは、テレワーク導入において欠かせないツールです。その他にも、安全な回線の使用やデータ暗号化、多段階認証の導入などによってセキュリティを高めることができます。
また、セキュリティを確保するためのルールを作り、社内の周知を徹底することも大切です。
総務省が提示する「テレワークセキュリティガイドライン」も合わせて参考にしてみるといいでしょう。
テレワークのITシステム環境の3つの種類
場合によっては、オフィスのパソコンでなければできない業務もあるでしょう。
そのようなケースでは、オフィスのパソコンを自宅に持ち帰って仕事をするのはコストはかからないものの、セキュリティ面でのデメリットがあります。
現在では、システムを活用してさまざまな方法で自宅からオフィスのパソコンに接続可能です。ここからは、テレワークで活用できるITシステム環境をご紹介します。
リモートデスクトップ
リモートデスクトップは、オフィスのパソコンのデスクトップ環境を自宅など離れた場所にある端末から遠隔操作する方法です。
保存したデータは自宅の端末ではなく、オフィスにある端末に保存されるため、セキュリティ対策として有効です。
パスワード管理やセキュリティ対策、VPN(仮想プライベートネットワーク)が必要になりますが、他の方法に比べると導入コストが低く、早ければ即日〜数日と素早く導入できることがメリットです。
仮想デスクトップ(VDI)
仮想デスクトップ(VDI)はオンプレミス型とも呼ばれ、サーバー上に仮想のデスクトップを構築し、自宅など離れた場所の端末から遠隔でログインして利用する方法です。
初期コストがかかるものの、自社のセキュリティポリシーに合わせてオフィスにインフラを構築できます。仮想デスクトップではどの端末からでも同じデスクトップを利用できるため、災害時にも業務が継続可能です。
クラウド型アプリ(DaaS)
クラウド型アプリ(DaaS)は仮想デスクトップの一種で、自社でのインフラ構築はせずクラウド型アプリを利用する方法です。
クラウドサービスを利用するため、オンプレミス型に比べると導入コストは抑えられますが、ランニングコストがかかります。一方で、規模の拡大・縮小を柔軟に行えたり、一時的に利用したいときには便利に活用できます。
まとめ
テレワークは、企業にも従業員にもメリットのある働き方です。しかし、オフィスとは異なる環境での作業となるため「集中できない」「生産性が低下してしまう」「コミュニケーションが取りにくい」などの課題もあります。
テレワーク環境を整備すれば、これらの課題の解決につながり、効率的で生産性の高いテレワークが行えるようになるでしょう。
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