自宅やコワーキングスペース、カフェやシェアオフィス、ワーケーションなどオフィスから離れた場所で仕事をするテレワーク(在宅ワーク/リモートワーク)は、インターネット社会の現代の新しい働き方として、今では必要不可欠なものになりつつあります。
実際にテレワークを導入している企業は多く、総務省が公表した「令和3年通信利用動向調査の結果」によればさまざまな業界でテレワークを導入しており、その割合は年々増加。IT業界(情報通信業)に至っては97.7%とほとんどの企業がテレワークという働き方を実践しています。
生産性の向上や通勤時間がかからないことなど、テレワークは企業にも社員にもメリットの多い働き方ですが、多くの企業で大きな課題となっているのが「テレワーク時のコミュニケーション」についてです。
この記事ではテレワーク時のコミュニケーションの課題や、コミュニケーション不足によって生まれる悪影響、コミュニケーション不足の解決策や活用できるツールなどについて解説します。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大をきっかけに広まっているテレワーク(在宅ワーク/リモートワーク)。
コロナ禍対策になるだけでなく、場所や時間の制約が少なく働き方の自由度が高まるテレワーク/在宅ワークは、育児や介護と仕事を併用しやすいなど、社員にとってメリットのある働き方です。企業としても優秀な人材の確保やBCP対策、コスト削減など、多くの利点があります。
一方で、物理的に距離があるため、オフィスで仕事をしていたときのように気軽なコミュニケーションを取れないことがデメリットとなるケースもあります。チャットやメールでのやり取りをすれば要件は伝えられるものの、相手の顔や声は伝わってこないため、意思の疎通が難しくなるためです。
また、オフィスでは当たり前に行っていた雑談がなくなり、やり取り内容が業務内容に限定されがちなことが、テレワーク中のコミュニケーションのデメリットとなるケースもあります。
内閣府が公表した「第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」では、テレワークで不便な点として「画面を通じた情報のみによる コミュニケーション不足やストレス」が2022年6月時点では30.2%となり、2020年5〜6月時点よりも上昇しています。
出典元:第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査(内閣府)
では、テレワーク中のコミュニケーション不足では、どのような悪影響が考えられるのでしょうか?主に、以下の3つがあります。
テレワークでは上司や同僚に会う機会や会話をする機会が大きく減ります。コミュニケーション不足に陥ると社員は孤独や不安を感じやすくなり、モチベーションの低下につながるのです。
時には、オフィスで仕事の愚痴を仲間で言い合うといったストレスが発散できなくなったり、会社の一員、チームの一員であるという意識も薄くなりがちです。
そしてモチベーションが下がると、企業全体の生産性低下を招きかねません。また、顔を合わせる機会が減ることで、評価制度への不満や疑問が大きくなる可能性も考えられます。
かといって、導入したテレワークを撤廃してしまうと、これまで問題なくテレワークを行っていた社員のモチベーション低下に繋がりかねません。テレワークをやるかやめるかではなく、テレワーク環境を改善することを目標として取り組んでいくことが大切です。
ここからは、テレワーク中のコミュニケーションを活性化させる解決策をご紹介します。
コミュニケーション不足に陥らないために、業務状況を可視化するのもひとつの方法です。チームの仲間たちがどんな状況で業務に取り組んでいるか、スケジュールを共有し、チーム全体の業務状況を可視化しましょう。
また、グループチャットの活用も有効です。常に情報を共有しておけば進捗状況も確認でき、業務の進み具合も把握できます。もしも仕事が遅れていたり、思うように進んでいない場合はフォローし合うことも可能です。
テレワーク時のコミュニケーションは「相手が何をしているかわからない」ことも課題でした。相手の状況がわからないと、話しかけるタイミングが掴めず、コミュニケーションの機会がつくれないためです。
スケジュールを共有しておけば、コミュニケーションのタイミングも掴みやすくなるでしょう。
管理職と部下の1on1ミーティングも、コミュニケーション不足による不安や不満の解消に効果的です。
仕事の進み具合やテレワークで気になった点、部下の悩みや不安を聞いたり、雑談をしたりすることで部下の不安や孤独感を和らげ、信頼関係の構築にもつながります。
オフィス勤務時とテレワーク勤務時では、そもそもコミュニケーションの方法が異なります。テレワーク中は、お互いが離れた場所で仕事をするというスタイルに合ったコミュニケーション方法を取らなければいけません。
そこで有効となるのが、コミュニケーションツールの導入です。今は多くのコミュニケーションツールがありますが、高機能なものであっても複雑過ぎて使いこなせないと社員に積極的に使ってもらうことが難しくなります。
自社の業務に合う機能があり、社員が誰でも手軽に使えるコミュニケーションツールを導入するのがおすすめです。
なお、コミュニケーションツールは単に導入するだけでは上手く機能しない可能性があります。コミュニケーションツールのメリットを最大限活かせるよう、ある程度ルールを決めておくといいでしょう。
たとえば、「相手に素早いレスポンスを求めない」「緊急性の高い内容の場合は電話で連絡する」などがあげられます。
コミュニケーションツールでの雑談は切り上げるタイミングがわからないこともあるため、雑談や休憩を意識的に取り入れるのもおすすめです。
ランチの時間や業務終了後の時間帯に雑談のための時間を取るようにするなど、時間を決めるといいでしょう。テキストチャットよりも、ビデオチャットの方がオープンな雰囲気を作り出せます。
ここからは、テレワーク中のコミュニケーションの注意点・ポイントをご紹介します。
ビデオ通話のできるWeb会議システムが普及したとはいえ、テレワーク中はビデオ通話ではなくチャットでのやり取りの方が多いものです。
テキストチャットは履歴を確認できることはメリットですが、相手の声音や表情がわからないため、すれ違いが生じやすいという点には注意が必要です。
自分の伝えたいことをしっかりと言葉で伝えるという意識を持ってやり取りしましょう。
オフィスで顔を合わせていたときのような感覚で「あれやっておいて」など曖昧な伝え方をすると、相手に伝えたいはずの内容が正しく伝わらず、すれ違いが起きる可能性があります。指示や要望などは、はっきりわかりやすく伝えるようにしましょう。
具体的には、文章ではなく箇条書きで伝えるのがおすすめです。
テキストチャットで長々と文章を書くと読むのに時間がかかり、要点を把握しにくくなります。伝えたいことや聞きたいことは箇条書きにしてまとめると、相手も確認しやすいでしょう。
ミーティングやWeb会議のときは、可能な限りビデオをONにして参加しましょう。もちろんビデオOFFでも業務上は問題ありませんが、お互いの表情を確認できると安心感が生まれ、一体感やチームワークも感じやすくなります。
テレワーク中のコミュニケーションに使えるツールには多くの種類がありますが、代表的なものは以下の3つです。
インターネット上で動画や音声でのやり取り、画面や資料の共有ができるシステム。
パソコンやスマートフォンのカメラやマイクを使用できるため環境構築が簡単で、手軽に導入できる
ビジネスで使うことを想定したチャットツール。
チーム内の情報共有やクライアントとの連絡に適した機能が搭載されている
コミュニケーションを円滑にし、業務効率化を促すソフトウェア。
スケジュール管理・プロジェクト管理・チャットや掲示板などのコミュニケーション機能・設備予約・メンバーの連絡先一覧・ファイルなどの機能がある
この他にも、個々の持つ業務知識やノウハウといったナレッジをデータベース化し、企業全体で共有できる「FAQシステム(ナレッジマネジメントシステム)」の活用も、テレワーク中の無駄なコミュニケーションコストを省け、便利に活用できるでしょう。
コミュニケーションはテレワークの大きな課題といわれていますが、それを解決するための解決策やちょっとした工夫を重ねるだけでも状況は改善されていきます。
また、現在ではテレワークを円滑に進めるために活用できるさまざまなツールが登場しています。これらも合わせて活用することで、コミュニケーションの不安という課題を解決し、テレワークにおけるストレス解消や生産性の向上につなげていけるでしょう。
テレワークは課題もあるものの、企業によっても社員にとっても多くのメリットが得られる働き方です。上手く導入することで、これまで以上に業務効率化・生産性を図ることができるのではないでしょうか。
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