新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大をきっかけに、国内はもちろん世界中で広まったテレワーク(リモートワーク/在宅ワーク)は、現在ではさまざまな業界が積極的に導入を推進しています。
コールセンターは3密(密閉・密集・密接)が起こりやすい職場のため、コロナ禍の影響により在宅勤務への意識が高まりました。
業務をテレワーク化することには企業にも社員にも多くのメリットがあり、コールセンターのテレワーク化を検討している企業は多いようです。また、人材採用が厳しい職種でもあることから、テレワーク導入により、全国から人材を採用したいとテレワーク化を進めるコールセンターも増えています。しかし、コールセンターのテレワーク導入には課題もあります。
そこでこの記事では、スムーズにコールセンターのテレワーク導入を進めるために、コールセンターにおけるテレワークの現状や課題、導入の進め方などについて解説します。
まずはコールセンターのテレワーク化の課題についてです。テレワークには多くのメリットがありますが、コールセンターの場合、以下のような3つの課題があります。
ここから、それぞれ詳しく見ていきましょう。
コールセンターでテレワーク導入を考えた際、まず挙げられるのが顧客の個人情報の取り扱いです。個人情報では秘匿性の高い情報を多く取り扱うため、テレワーク化による情報漏えいの可能性は最も大きな懸念といえます。
データ暗号化やシンクライアント端末、VPN接続などテレワーク環境下でもセキュリティを保てるシステムの導入を検討する必要があるでしょう。
オペレーターの応対品質も、コールセンターのテレワーク化の課題の一つです。
オフィス勤務の場合、お客様とオペレーターとの間でトラブルがあれば管理者が素早く気づくことができます。しかし、テレワークの場合は離れた場所で仕事をしているため、トラブルに対して適切なフォローが難しくなります。
共有された情報についての理解度の確認もしにくく、オペレーターによって応対品質にムラが発生することも考えられ、顧客満足度が低下してしまう恐れがあります。
遠隔でもオペレーターの状態を管理・監視できるITツールやシステム導入などによる対策を行う必要があるでしょう。
コールセンターに限ったことではありませんが、社員の労務管理・勤怠管理もテレワーク導入で必ず挙がる課題の一つです。
オフィスでは上司がその場で働きぶりを評価できましたが、テレワーク環境下では「どのように評価すべきか」「遠隔でどのように教育を行うか」「悩みやモチベーション低下に早い段階で気づくにはどうしたらいいか」などの課題が生じます。
オフィス勤務時とは異なる評価制度やマネジメントの整備が求められるでしょう。
一般社団法人日本コールセンター協会が41社を対象に行った調査を報告する「『2021年度 コールセンター企業 実態調査』 報告」によれば、在宅テレコミュニケーターの採用予定に対し、「採用の予定がない」と回答した企業は2020年度より6社減少した13社(37%)という結果が出ており、在宅テレコミュニケーターの採用を考える企業が増加していることがわかります。
課題はあるものの、既に多くの企業がコールセンターのテレワーク導入に取り組んでいる、もしくは取り組みを検討しているようです。
出典元:「『2021年度 コールセンター企業 実態調査』 報告」一般社団法人日本コールセンター協会
コールセンターのテレワーク導入には課題もあるものの、中にはほとんどの社員のテレワーク移行を成功させた企業もあります。
チューリッヒ保険会社は、一度目の緊急事態宣言の中、社員95%のテレワーク移行を成功させました。テレワーク環境下でのコールセンター業務に適したIT機器・ツールの導入、研修の充実などハード面とソフト面を両立させたことが、スムーズな移行の秘訣になったといいます。
現在、多くのコールセンターがテレワークを推進しています。セキュリティ対策や応対品質などの課題があるにもかかわらず、テレワーク化が推進されているのは、以下のように多くのメリットがあるためです。
● 人材不足の解消
● 優秀な人材の確保
● 離職率の低下
● 生産性向上
● コスト削減
● BCP対策
コールセンターは早期退職をする人が多く、慢性的な人材不足といわれています。人材の確保に合わせて、働き方改革によって社員が働きやすい環境をつくることが求められています。
社員が働きやすい環境になれば意欲や生産性の向上も期待できます。オフィスを借りるためのコストや通勤手当といったコストを削減できるのもメリットです。
また、コロナ禍の影響もあり、近年はBCP対策に力を注ぐ企業が増えています。自然災害の多い国として知られる日本においては、災害などの非常時でも事業を継続していくためのBCP対策(事業継続計画)が非常に重要です。
コールセンターのテレワーク導入方法
ここからは、コールセンターにテレワーク導入を進めるにあたり、やるべきことについて解説します。
コールセンターのテレワーク化にあたり、まずは現状の調査から行います。業務内容やオペレーション、既存システムによっても、テレワーク化の流れは変わってきます。
すぐにテレワーク化可能なのか、ある程度時間を掛けてシステムから対応する必要があるのかなど、現状を調査して検討していきましょう。他社事例を参考にするのもおすすめです。
コストやリスクについてもいくつかのシナリオを想定しておき、ベンダー調査も同時に行いましょう。期間短縮のため、外部のコンサルティングを受けるのも一つの方法です。
続いては、テレワーク化していくための具体的な計画の策定です。予算、ベンダー選定、RFPの準備などを進めていきましょう。
どのようなプランで計画を進めるか、社内外での調整・承認が求められるため、数週間ほどかかることが一般的です。
詳細の設計
テレワーク化に求められるシステムや機器、ネットワーク設定などを行います。コールセンターのテレワーク導入には、ソフトフォンやクラウドPBXといった設備や、パソコンやヘッドセットなどの機器が必要です。
社内外で役割分担を明確にした上で、プロジェクトの責任者が全体の工程を管理するとスムーズでしょう。
コールセンターにテレワークを導入する際のポイント
ここからは、コールセンターにテレワークを導入する際のポイントや注意点について解説していきます。
コールセンター業務においては、セキュリティ対策が非常に重要です。セキュリティ対策は大きく「技術的対策」「物理的対策」「人的対策」の3つに分けられます。
ソフトウェアやITツールを活用した技術的対策、企業が行う物理的対策の他にも、社員のミスや不正によって生じるリスクへの対策をしっかりと行うことが重要です。
ITツールやウイルスソフトなどの活用した対策だけではなく、社員や派遣スタッフに向けて、セキュリティ意識を高めるトレーニングや啓蒙活動を行いましょう。
コールセンター業務を在宅でスムーズに行うためには、前もって必要なITツールやシステムを導入し、テレワーク環境を整えておくことが大切です。
コールセンターには固有のシステムがあるため、業務内容やオペレーションに合わせて最適なITツールやシステムを選定しましょう。
コールセンターのテレワーク化に必要なツールの代表的なものとしては、「クラウドコールセンターシステム」や「問い合わせ管理システム」があります。
また、テレワーク環境下ではコミュニケーション不足が問題として浮上しがちです。離れた場所からでもオペレーターの教育やフォローができるよう、情報共有やコミュニケーションができるビジネスチャットツールなども導入しましょう。
ビジネスチャットツールにはいくつもの種類がありますが、気軽にコミュニケーションできるよう、誰でも使えるものを選ぶのがおすすめです。
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業務内容によっては、現行の業務をそのままテレワークに落とし込むのが難しいこともあります。
このような場合は、オフィスで行う業務とテレワークで行う業務を分けたり、社員の状況によって業務の割り振りを変えるなどの工夫をするといいでしょう。
まとめ
コールセンターのテレワーク化は、人材確保、BCP対策、社員のワークライフバランスなどさまざまな観点から、取り組みの必要性が高まってきています。
テレワークではセキュリティ対策、労務管理や勤怠管理、応対品質といった課題もありますが、これらはコールセンターに適したITツール・システムなどを活用することで対応できるでしょう。
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