新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大をきっかけに導入する企業が増えたリモートワーク(テレワーク・在宅ワーク)は、現代の新しい働き方として定着してきています。
また、近年は正社員だけでなく、派遣スタッフへのリモートワーク導入も進んでいます。多くの企業でリモートワークの実績が増えたことで前例もでき、あらゆる業種・職種でリモートワークを進めやすくなっているといえるでしょう。
建築・電気・製造・機械・インテリア・服飾など多くの産業分野で活躍する「CAD(キャド)オペレーター」も、リモートワーク向きの職業の一つです。また慢性的な人材不足であることから、リモートワークを導入することで、経験者やスキルが高い人材を採用できる可能性が高まります。
この記事では、CADオペレーターのリモートワーク導入率やCADオペレーターがリモートワークに向いている理由、リモートワークの導入を成功させるコツなどについて詳しく解説します。
業種や職種によっては、リモートワークに向いている仕事と向いていない仕事がありますが、CADオペレーターはリモートワークに向いている仕事の一つです。
ここでは、なぜCADオペレーターがリモートワーク向きの仕事であるのか、その理由について解説します。
CADデータはコンピューター上でやり取りできるデジタルデータであるため、オフィスに出社する必要がなく、オンライン上で成果物を送信することで完結できます。
特別な機器も必要なく、パソコンやCADソフトがあれば仕事ができるので、場所や時間の制限も受けません。自宅やコワーキングスペースやサテライトオフィスなど、企業のオフィス以外でも快適に仕事ができるでしょう。
中には、どうしてもチームでのコミュニケーションが欠かせない仕事もあります。チームワークが求められる仕事の場合、リモートワークには向いていないこともあるでしょう。
一方、CADオペレーターの仕事は一人ひとりのやるべきタスクが明確です。
【CADオペレーターの主な業務内容】
CADオペレーターの主な業務内容は、上記の3つです。
設計者、デザイナー、工事関係者といったクライアントとの打ち合わせの場合は実際に会って打ち合わせした方がいいケースもありますが、ある程度まで方向性が固まればビデオチャットツールなどを活用してリモートワークでコミュニケーションが取れます。
CADオペレーターのメインの業務となるのが作図で、ヒアリング内容を元に作図や既に作図されたものの調整を行います。
作図したものを提出したらフィードバックを元に修正して、納品完了です。CADオペレーターの業務は基本的にこのような流れで行うため、フルリモートワークの勤務も可能です。
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コロナ禍の影響もあり、CADソフトを提供するメーカーも、リモートワークを支援するためのさまざまな取り組みを行っています。
例えば、AutoCADといったソフトを提供しているAutodesk(オートデスク)社は、企業のリモートワーク導入支援に力を注ぐことをアナウンスしています。
Autodesk社のサブスクリプションライセンスでは、自宅やオフィス、出張先などでもインターネット環境があれば利用可能となり、仮想化デスクトップ(VDI)にも対応しています。
総務省が発表した「令和3年通信利用動向調査の結果」によれば、多くの産業でリモートワークを導入する企業の割合は増えています。
CADオペレーターのリモートワーク導入率についてははっきりした数字は示されていないものの、CADオペレーター関連の求人の多くが「リモートワーク可能」としていることから、CADオペレーターのリモートワーク導入率は高まってきていると考えられるでしょう。
建設業界でもテレワークが進んでいる
テレワーク化が難しいといわれる建設業界でも、テレワークが進んでいます。
東京商工会議所が2020年11月に発表した調査結果では、建設業のテレワーク実施率は41.0%。全業種の中で最低であり、「一時期実施していたが、現在は取りやめた」割合も最大となっていました。
しかし、建設業界でも業務を細分化し、テレワーク対応にできるものを仕分けすれば、テレワークを導入できます。
CADやBIMによる製図作業は、テレワーク化できる代表的な業務の一つです。
令和元年は22.5%だった建設業界のテレワーク導入率は令和2年には56.3%にまで上がり、令和3年もわずかですが上昇しています。
CADオペレーターに限らず、リモートワークの導入を考えたときは課題や問題もあります。
しかし、課題を認識していれば適切に対処しながらリモートの導入を進めていけるでしょう。ここからは、スムーズなリモートワーク導入のためのコツをご紹介します。
CADオペレーターはパソコンやCADソフト、インターネット環境があれば仕事ができますが、リモートで業務をする場合は一定のスキルが求められます。
図面に関する専門知識はもちろん、自分で判断して仕事を進め、付随業務をこなさなければいけません。CADオペレーター未経験者や、経験が浅い人材の場合、誰かに教わりながらでないと仕事が進められないこともあります。
経験の浅い人材の場合、急に全ての業務をリモートに切り替えるのは難しく、段階的に切り替えていく必要があるでしょう。
またリモートワークを導入する場合は、フォローアップ体制を築いておくことも必要です。
セキュリティ対策は、リモートワークの課題の一つです。CADオペレーターの場合、CADデータは機密情報であるため、セキュリティは大きな課題といえます。
自社社員や派遣スタッフに対してリモート環境下でのセキュリティガイドライン策定、ウイルス対策ソフトの導入、安全な回線の使用、データ暗号化、多段階認証の導入など、万全のセキュリティ対策を行いましょう。
リモート環境下でのセキュリティ対策については、総務省が公表する「テレワークセキュリティガイドライン第4版」で詳しく解説されているため、こちらも合わせて確認しておくのがおすすめです。
CADでは専用のソフトを使用して作図を行いますが、ソフトを動作させるためには高スペックなパソコンが必要です。パソコンのスペックが不足していると、膨大なCADデータのやり取りをスムーズに行うことができません。
しかし、自宅やコワーキングスペースの場合、オフィスに比べると作業環境が整っていないことがほとんどです。
とはいえ、別途高性能なパソコンを用意するとなると、導入コストが膨らんでしまいます。
コストを抑えたい場合は、「リモートデスクトップ」「仮想デスクトップ(VDI)」「クラウド型アプリ(DaaS)」などを活用して、リモートワークに適した環境づくりを行いましょう。
オフィスのパソコンのデスクトップ環境を離れた場所にある端末から遠隔で操作する
サーバー上に仮想デスクトップを作り離れた場所から遠隔でログインする
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コミュニケーションは、リモートワーク時の大きな課題の一つといわれています。
内閣府が公表した「第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」でも、リモートワーク環境で不便な点について「画面を通じた情報のみによるコミュニケーション不足やストレス」を挙げる人が30.2%と、3割以上も存在します。
オフィス勤務であれば、CADの操作中にわからないことや相談したいことがあったときにすぐに質問したり、その場で適切な指示をもらったりすることができますが、リモートワークではそれが難しくなります。
コミュニケーション不足やすれ違いによって成果物や納期に影響を出さないよう、円滑なコミュニケーションができる体制を整えましょう。
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まとめ
コンピューター上でCADソフトを使って作業し、成果物もデジタルデータであるCADオペレーターは、場所や時間を問わずに仕事ができるため、リモートワークとの相性がいい職業です。
近年ではIT技術の進歩により、リモートワーク環境もより快適になってきています。CADオペレーターのリモートワークは今後さらに進んでいくと考えられるでしょう。
リモートワークで仕事をしたいという人材は多く、リモートワーク環境を整備しておけば、優秀な人材を確保できるなど、企業にとってのメリットもあります。人材不足が厳しい中、リモートワークを導入することは、優秀な人材確保の面で大きなメリットになるといえるでしょう。
CADの業務に適した環境の整備、セキュリティ対策、円滑なコミュニケーションができる体制の整備を行い、スムーズなリモートワーク導入につなげましょう。
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