テレワークは派遣スタッフにも導入できる?メリットやクリアすべき課題を解説

2022/08/01
テレワークは派遣スタッフにも導入できる?メリットやクリアすべき課題を解説


働き方改革の促進や新型コロナウイルス感染症の拡大により、推進が求められているテレワークは、場所や時間にとらわれないで働くことができる新しい勤労形態です。
企業はテレワークを導入することで、国内外を問わず優秀な人材を確保することができ、離職率を低下させて労働力不足を補えるなどのさまざまなメリットを受けられます。
このような社会情勢の中で、社員だけではなく派遣スタッフにもテレワークを導入したいと考えている企業は多いのではないでしょうか。

この記事では、派遣スタッフへテレワークを導入するメリット、クリアすべき課題、実現するためのポイントをわかりやすく解説します。

 

テレワークは派遣スタッフにも導入できる


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テレワークとは、テレ(tele:離れた場所)とワーク(work:働く)を組み合わせた造語であり、ICT(情報通信技術)を利用し、オフィス以外の自宅やサテライトオフィスなどで働くことを意味します。

いつでもどこでも働ける勤労形態を設けることで、社員の生産性向上や離職防止などの効果に期待できます。

近年においては、正社員だけではなく、派遣スタッフにもテレワークを適用するケースも増えています。

働く場所に縛られず、通勤時間が不要なテレワークは、理想のワークライフバランスを実現できる働き方です。

 

政府は派遣スタッフへのテレワーク導入を推進している


国は派遣スタッフへのテレワーク導入を推進しているイメージ

現在、多くの企業がテレワークを導入していますが、正社員と派遣スタッフには導入率に大きな差があります。

株式会社パーソル総合研究所の調査によれば、正社員のテレワーク導入率が24.7%であるのに対して、派遣スタッフを含む非正規雇用者は15.8%という結果でした。

テレワークの導入率が正社員と派遣スタッフで差が開いている要因には、「派遣スタッフにはテレワークをさせられない」と考えている企業が多い点が挙げられます。

しかし、これは大きな誤解です。

厚生労働省は2020年8月に公表した「派遣労働者等に係るテレワークに関するQ&A」にて、派遣スタッフの就業をテレワークのみで行うことは可能と記載しています。厚生労働省は社員と同様に派遣スタッフへのテレワークも推奨していますが、それでも実際に導入率に差がある理由は、さまざまな課題をクリアできない企業が多く、なかなか簡単に実現できていないのが現状です。

 

テレワークの3つのスタイルを紹介


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派遣スタッフにテレワークを適用させる前に、基本的な3つのスタイルと特徴をおさえておきましょう。

自宅利用型テレワーク(在宅勤務)

自宅利用型テレワークは、派遣スタッフが各々の自宅で業務を行うスタイルです。

オフィスや施設に出勤する手間が一切なく、与えられた業務を自宅にあるICT機器(PC・スマートフォンなど)を利用して行います。

派遣社員とのやりとりには、電話・FAX・メール・チャットツール・オンライン会議ツールなどが用いられ、勤怠やタスク管理もオンラインで行う必要があります。通信インフラを整備し、ICT機器を派遣スタッフごとに準備する必要があるため、導入計画書を予め策定しておくことが大事です。


モバイル型テレワーク

モバイル型テレワークは、コワーキングスペース・カフェ・交通機関内など、その日の状況に応じて働く場所を変えるスタイルです。

一日で複数の場所を移動するような営業職に適した働き方であり、オフィス外で通信インフラの整った場所を探さなければなりません。

勤怠状況が在宅勤務よりも把握しづらくなるため、業務に即した勤怠管理ツールを選定することが大事です。


サテライトオフィス型テレワーク

サテライトオフィス型テレワークは、本社や支社ではなく、通信インフラが整備されたサテライトオフィスやコワーキングスペースで働くスタイルです。

自社でサテライトオフィスを設置する場合、莫大なコストが発生しますが、既存のサテライトオフィスにシェアスペースを契約して利用することも可能です。

コワーキングスペースは、多種多様な業種の人が利用するオープンスペース型の施設であり、全国の様々な地域に設置されています。法人契約をすれば、数ヶ月間働くスペースを確保することもできるため、本社・支社から離れた場所に住む派遣スタッフを雇用することも可能です。

在宅勤務・モバイル型・サテライトオフィス型を、一つに限定しなければならない決まりはないため、業務内容やテレワークの対象者に合わせて柔軟に選択しましょう。

 

派遣スタッフへテレワークを導入する3つのメリット


派遣スタッフへテレワークを導入する3つのメリットイメージここからは、企業が派遣スタッフへテレワークを導入することで得られるメリットを3つ紹介します。

 

メリット① 地域を制限せずに優秀な人材を確保できる

派遣スタッフへテレワークを導入すれば、地域を制限せずに多様な人材を確保できます。

従来までのオフィス勤務では、通勤可能な派遣スタッフのみが対象となるため居住地域に制限がありました。しかし、働く場所を選ばないテレワークでは、その制限がありません。

派遣スタッフの中には、特定のスキルを持ちながら自分のライフスタイルに合わせて仕事をしたいと考えている方もいるため、時間と場所を問わないテレワークは相性が良いです。さらに、現在の日本は深刻な少子高齢化社会であり、今後はさらに労働世代の占める割合が少なくなりますから、優秀な人材を確保することが難しくなります。

このような社会情勢を考えると、派遣スタッフのテレワーク導入した場合、企業側は地域を制限せずに優秀な人材を確保でき、派遣スタッフ側は就業機会が得られるという、双方にメリットがあるので、テレワークの導入は、今後の企業運営においては欠かせない取り組みであるとも考えられます。

メリット② 事業継続性(BCP)を確保できる

自然災害、システム障害、感染症などの緊急事態は、いついかなる時でも発生するリスクがあります。

企業は万が一の緊急時に備えて事業継続計画(BCP)を策定しておく必要があり、テレワークはリスクを分散させるという観点から考えると非常に有効な手段です。たとえば、1つのオフィスに社員と機能を1つの場所に集中させている場合、自然災害やシステム障害などでオフィスが使えなくなれば、事業を続けることができなくなります。

しかし、テレワークを導入し社員や派遣スタッフを分散させて業務を遂行できる体制を整えていれば、不測の事態が発生した場合でも滞りなく事業を継続でき、企業に及ぼす影響を大きく軽減することができるでしょう。

リスク軽減という意味でも、派遣スタッフへのテレワーク導入は大きなメリットがあります。

メリット③ 家賃や通勤手当などのコストを削減できる

企業は派遣スタッフへテレワークを導入することで、オフィスの家賃、通勤手当、光熱費などのコストを削減できるメリットがあります。

派遣スタッフを多く採用すれば、その分だけデスクと椅子を用意し、社員の数に応じて広いオフィスを借りなければいけません。また、1人ずつ通勤手当もかかります。

しかし、派遣スタッフもテレワークを可能にすればオフィスの規模を縮小することができ、通勤手当や光熱費なども削減できます。派遣スタッフへのテレワーク導入は、コスト面でも大きなメリットをもたらします。

 
 

派遣スタッフへテレワークを導入する際にクリアすべき3つの課題


派遣スタッフへテレワークを導入する際にクリアすべき3つの課題イメージ

続いては、派遣スタッフへテレワークを導入する際にクリアすべき課題を解説します。

 

管理体制

派遣スタッフへのテレワーク導入に足踏みしている企業の多くは、管理体制に関する悩みを抱えているのではないでしょうか。

実際にテレワークとなると、従来のオフィス勤務とは異なり、スタッフの自宅など離れた場所での勤務となるため、労務状況を管理するのが難しいというデメリットがあります。また、管理下での仕事に比べて業務の進捗状況も見えにくいため、長時間勤務を強いられるなどのトラブルが発生する可能性も考えられます。

これらの課題を解決するためには、ICTツールを活用した綿密なコミュニケーションが重要になります。始業と終業の連絡はもちろん、業務の進捗状況も可視化しましょう。

テレワークは、コミュニケーション不足による生産性低下が懸念される働き方なので、Web会議システムをはじめとするツールを活用しながら、孤独感の軽減にも努めてください。

 

設備面

パソコンやインターネット環境が整備されていなければテレワークは導入できません。

業務内容にもよりますが、多くの仕事ではテレワークをする際にパソコンが必要です。Web会議システムを利用する場合は、カメラやマイクの準備も不可欠です。これらの設備がなければ派遣スタッフはテレワークができませんので、設備面の課題をクリアしなければ導入は進められません。

企業で貸し出し用のパソコンやモバイルWi-Fiを用意するなど、自宅で働ける設備が整っていない派遣スタッフへの対応も考えなければいけません。

なおヒューマンリソシアでは、派遣スタッフが自宅で就業する際に必要な機器を貸し出しすることも可能です。

 

セキュリティ

派遣スタッフがテレワークで使うパソコンがセキュリティ面で脆弱な場合、デバイスのウイルス感染や盗難により情報が第三者に漏洩するリスクが高まります。

企業は、下記のセキュリティ対策に取り組んでください。

  • テレワーク環境下でのセキュリティガイドライン策定
  • 各種データの暗号化
  • 規定のウイルス対策ソフトを導入
  • 安全な回線を使用する

総務省が発表した「テレワークセキュリティガイドライン第4版」でも、ルール・技術・物理という3つの観点からセキュリティ対策を講じる必要があると指摘しています。

派遣スタッフへテレワークを導入する際は、セキュリティ面にも留意するようにしてください。

 

 

派遣スタッフへのテレワーク導入を成功させるポイント


派遣スタッフへのテレワーク導入を実現するための3つのポイントイメージ

派遣スタッフへのテレワーク導入を実現するために押さえておくべきポイントを解説します。


テレワークで達成したい目標の設定

派遣スタッフの雇用・労働に関する課題を洗い出し、テレワークで達成したい目標を設定しましょう。

例えば、通勤コストの削減を目標とする場合、テレワークを適用した従業員一人あたり、どのくらいのコストを削減したいかを明確にします。離職率の減少を目標に設定した場合は、ストレスフリーで働ける環境づくりに取り組み、テレワーク導入後のモチベーションの変化を測定することも大事です。

他にも、遠方在住者の採用強化やワークライフバランスの実現、組織の生産性向上など、自社の課題に合った目標を設定しましょう。


業務状況の見える化

テレワークで働く派遣スタッフの業務状況は、オフィスワークのように目視で把握することができません。そのため、タスクの進捗状況をメールで報告するルールを設ける、またはオンラインで業務状況を把握できるツールを導入するなどの取り組みが必要です。

どのような業務にどのくらいの時間を要したのかを確認できれば、管理者側で適切な指示を出し、生産性向上に繋げられます。


コミュニケーションツールの活用

テレワークの導入に伴い、遠隔で働く社員同士で双方向コミュニケーションを図る取り組みは非常に重要です。
特に、「派遣スタッフが上長に対して話しかけにくい」という課題を解消しなければ、モチベーションの低下につながりかねません。

そのような課題の解決策となるのが、従業員同士でコミュニケーションを図れるチャットツールです。チャットツールは、オンライン通話やメールを利用するよりも気軽にコンタクトしやすく、業務に関する相談や悩みを共有できる場所にもなります。

また、オンライン会議ツールを利用し、同じ部署に属するチームメンバーと顔を合わせながら会話する習慣づくりも、組織の活性化につながる重要な取り組みです。

労働者派遣契約の変更

派遣スタッフへテレワークを導入する際は、自社と派遣企業との間で結ばれている労働者派遣契約の内容を変更しなければいけない場合があります。

労働者派遣契約の中には、業務内容、就業日、就業時間、就業場所などが明記されています。具体的には、就業場所の項目に新しく「自宅」を追記するなどの対応が必要です。

就業場所が自宅以外になる場合は、その旨も明記してもらう必要があります。しかし、緊急事態宣言のように緊急性が高い場合は、契約内容の変更は必須ではありません。

また、本来であれば派遣先企業は就業場所の巡回が求められますが、テレワークを実施している場合は、電話やメールなどで確認が取れれば巡回の必要はありません。

派遣先企業とのトラブルを避けるという意味でも、事前に労働者派遣契約の内容を確認し、必要であれば追記等の変更を行いましょう。


派遣スタッフ毎の通信インフラの整備

派遣スタッフを在宅勤務やモバイルワークで採用する際、業務を問題なくこなせる通信インフラの整備が必要です。

在宅勤務の場合、インターネット環境と業務用のPC・スマートフォンなどのデバイスに加えて、OS・ソフトウェア・アプリケーションのインストールが必要になります。通信インフラ機器を揃えるだけではなく、情報漏えいや不正アクセスなどのリスクを低減する、セキュリティ対策も講じましょう。

例えば、通常のPCを利用する場合、VPNを利用して通信内容を暗号化し、セキュアなアクセスを実現させなければなりません。シンクライアントPCやシンクライアントサーバーの利用も、業務で取り扱うデータの内容に応じて検討します。

通信インフラ機器を購入して揃えるのは莫大なコストが発生するため、最近ではノートPC・Wi-Fi・ヘッドセットなどを一式レンタルできるサービスの需要が高まっています。レンタル業務やリース業者の利用を視野に入れながら、テレワークの導入計画を練りましょう。


ICTツールの利活用

テレワークの導入において、業務効率化を実現するICTツールの利活用は不可欠です。遠隔で働く従業員同士で迅速なコミュニケーションを図れるチャットツールをはじめ、オンライン会議ツール、ナレッジ共通ツール、勤怠管理ツール、タスク管理ツールなどの導入を検討しましょう。

例えば、テレワークで業務効率化を図れる定番のICTツールには、以下のようなものが挙げられます。

  • Slack(チャット/会議ツール)
  • Teams(チャット/会議ツール)
  • Chatwark(チャットツール)
  • Qast(ナレッジ共有ツール)
  • kibela(ナレッジ共有ツール)
  • Notion(タスク管理ツール)
  • Trello(タスク管理ツール)
  • Zoom(オンライン会議ツール)
  • Whereby(オンライン会議ツール)
  • ジョブカン(勤怠管理ツール)
  • KING OF TIME(勤怠管理ツール)

事前に派遣スタッフへツールの操作方法などを教える研修の実施も、テレワークをスムーズに進める上で大事になります。

直接的な研修が難しい場合は、ICTツールの活用方法のガイドラインを策定・共有することで、コミュニケーションやタスクの進捗管理を円滑に進められます。

テレワークに適した業務の割り当て

派遣スタッフへは、テレワークに適した業務に従事してもらう必要があります。

たとえば、テレワークでは対応できない電話対応や接客業務や、オフィスにいる社員とのやり取りを頻繁に行う必要がある業務なども、支障をきたす場合があります。

具体的には、下記のような業務が派遣スタッフのテレワークに適しているといえます。

  • PCを使用する割合が高い事務業務
  • カスタマーサポート
  • テレマーケティング
  • Webライター業務
  • Webサイトの作成やデザイン
  • システム管理

とはいえ、前述したテレワークの管理体制がきちんと整っている企業であれば、幅広い業務を派遣スタッフへ割り振ることが可能です。

社内リソースを検討したうえで、最も適した業務に従事してもらうようにしましょう。

 

派遣スタッフへのテレワーク導入に役立つFAQ


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厚生労働省がまとめた「派遣労働者のテレワークについて」を参照し、テレワーク導入でよくある質問と回答をわかりやすくご紹介します。

【Q】派遣スタッフへテレワークを実施する際、労働派遣法で留意すべきこととはありますか

【A】就業場所や労働派遣契約の一部変更などが必要になる場合があります。

書面による契約変更が事前に必要になるわけではありませんが、派遣元事業主と派遣先の間で話し合いを行い、合意しておかなければなりません。


【Q】在宅勤務を適用した場合、定期的な巡回は必要になりますか?

【A】電話やメール等による就業状況の確認で対応できます。

派遣元指針及び派遣先指針では、派遣元事業主、または派遣先で派遣労働者の就業場所を定期的に巡回するよう勧められています。ただし、巡回は労働者派遣契約に反していないかを確認する目的とされており、自宅まで巡回する義務はありません。

【Q】派遣スタッフのみテレワークを除外することはできますか?

【A】労働者派遣法の趣旨・規定に反する可能性があります。

テレワークを導入後、「派遣スタッフであること」を理由として一律にテレワークから除外した場合、労働者派遣法の趣旨・規定に反する可能性があるため注意してください。

労働者派遣法とは、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」のことです。派遣元事業主・派遣先に課される事項については、「厚生労働省の公式サイト」でご確認ください。  

 

 

まとめ


企業が派遣スタッフへテレワークを導入するメリット、課題、実現するためのポイントを紹介してきました。

新しい働き方として定着しつつあるテレワークですが、前述したように正社員に比べて派遣スタッフの導入率は低いというのが現状です。さまざまな課題はありますが、企業がテレワーク導入によるメリットを最大限に受けるためには、社員だけではなく派遣スタッフへの導入も不可欠です。

「テレワークで働ける派遣スタッフを増員したい」「派遣スタッフをテレワークで働かせるノウハウがない」とお悩みの企業様は、ぜひヒューマンリソシアへご相談ください。

派遣スタッフのテレワークを支援するヒューマンリソシアでは、事務系、IT系、クリエイティブ系など、さまざまな業種で活躍できる人材を派遣しています。
派遣スタッフが自宅で就業する際に必要な機器は、すべてヒューマンリソシアで貸し出しすることが可能なので、他社の派遣スタッフのテレワーク対応もご相談ください。

社員だけではなく派遣スタッフへもテレワークを導入すれば、長期安定就業へと繋がります。この機会に、ぜひテレワークの導入をご検討ください。

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