テレワークの普及率はどれ位?企業で普及させるための重要ポイントを紹介

2022/08/01
テレワークの普及率はどれ位?企業で普及させるための重要ポイントを紹介

特に近年、新型コロナウイルス感染症の拡大を機に導入する企業が増えたテレワークは、ICT技術を活用した新しい働き方、業務のデジタル化や生産性向上への第一歩としても高い注目を集めています。
多くの企業が、人材確保の観点からもテレワークを導入しようと考えているのではないでしょうか。

この記事では、テレワークの普及率や導入できない企業の課題などを解説します。
「テレワークの導入を検討しているが、参考のために普及率や導入状況を知りたい」と考えている企業の方は、ぜひ最後までご覧ください。

ちなみに、メディアではテレワーク、リモートワーク、在宅勤務など、さまざまな名称が使われていますが、いずれも同じ意味で使用されます。本記事では、テレワークという呼称で統一しています。

 

 

テレワークの普及率は?企業規模・業種・地域別で詳しく紹介


令和3年11月1日に内閣府が発表した「第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査」によれば、国内のテレワーク普及率は30.6%です。
最も普及している東京都が50.6%、地方圏では22.7%なので、いかに東京都をはじめとする都市圏に集中しているかがわかります。
ここからは、記事執筆時点(2022年7月14日)で発表されている最新情報を基に、テレワークの普及率を企業規模別、業種別、地域別で詳しく紹介します。

 

企業規模別

内閣府が発表した前回の調査によれば、企業規模別のテレワーク普及率は下記の通りです。

企業規模とテレワーク普及率

 

上記表を見てもらえればわかる通り、企業規模が大きく社員の数が増えるほど、テレワークの普及率も高くなっています。

全国平均は32.2%なので、299人以下の社員を抱える中小企業は平均を大きく下回り、テレワークが普及していないことが判明しています。

大企業と中小企業でテレワークの普及率に差がある大きな要因としては、社内体制を整えることができるかどうかという点が挙げられます。
大企業であればテレワークを推進するための部署を構築することもできますが、社員の数が少ない中小企業では、通常業務を放置して推進のみに取り組むチームを作るのは難しいでしょう。
また、労務管理やセキュリティに対する懸念、そもそもテレワークができる仕事内容ではないなどの理由により、中小企業ではテレワークがあまり普及していないのが現状です。

 

業種別

内閣府が発表した最新の調査によれば、業種別のテレワーク普及率は下記の通りです。

業種別のテレワーク普及率

 

テレワークが最も普及している業種は、IT関連企業が含まれる情報通信業です。
情報通信業は、インターネット付随サービス業、映像・音声情報制作業、携帯電話通信技術の開発や維持管理が含まれるため、パソコンさえあれば環境を問わず働けるという方が多く、それがテレワークの普及率が高い要因になっています。

一方で、医療、福祉、保育、運輸、製造など、対象者がいる場所へ行かなければ仕事ができない業種に関しては、テレワークの普及率が低くなります。

テレワークができる仕事とできない仕事があるため、業種により普及率には大きな差があるのが現状です。

 

地域別

2022年4月22日に総務省が発表した「総務省におけるテレワーク普及・推進の取り組み」によれば、テレワークの地域別の普及率は下記の通りです。

テレワークの地域別の普及率


都市圏を形成する関東と近畿のテレワーク普及率は高いものの、中国、四国、九州、北海道、東北などの地方は低くなっており、地域ごとに差が生じています。

都市と地方で普及率に差が生じている要因は、ここでも企業規模が関連しています。
都市では大企業が多くありますが、地方は中小企業が中心なので、それがテレワーク普及率の差という形で数値に表れているようです。

 

 

今までテレワークが普及しなかった3つの理由


今までテレワークが普及しなかった3つの理由イメージ

国内でテレワークが普及した理由は、新型コロナウイルスの感染拡大、ICTツールの普及、国を挙げての働き方改革の推進が挙げられます。

しかし、世界的に見ると日本のテレワーク普及は大きく遅れています。総務省が発表した「2018年 通信利用動向調査」によると、コロナ禍以前の日本の普及率は下記の通りです。

コロナ禍以前の日本のテレワーク普及率

 

日本は1回目の緊急事態宣言で普及率が56.4%まで上昇しましたが、アメリカやイギリスはコロナ禍になる前からテレワークが広く普及していました。
上記調査は社員が100人以上の企業を対象にしているため、100人未満の企業を含めれば日本の普及率はさらに低くなると予測されます。
日本の労働者の7割が中小企業に勤めています。今後テレワークを普及させるためにも、なぜ今まで日本でテレワークが進まないのかを改めて考え直す必要があります。次の項目では、その理由を解説していきます。

 

帰属意識が強い

日本の労働者は、自分がどこで働いているかという会社への帰属意識が強いといわれています。
とくに欧米諸国の人に比べて、日本人はチームでの仕事が得意である一方、個人で仕事をするのが苦手な傾向にあります。
テレワークは自宅で1人で仕事をするため、チームで仕事をしている意識が低下します。その会社に属している定義も薄くなるので、自己肯定感が下がりやすくなります。

これからの時代は個人が評価されて尊重される時代ですが、帰属意識が強すぎるがあまり、会社から離れて仕事をするという認識が抜け、テレワークの普及が遅れていたのです。

 

メンバーシップ型雇用で採用されている

日本の企業では、多くの社員が日本型雇用と呼ばれるメンバーシップ型雇用で採用されています。
メンバーシップ型雇用は年功序列、新卒一括採用、終身雇用が前提とされており、スキルではなく人物を重視して採用し、企業内で部署異動や転勤を繰り返して出世していきます。

対して欧米諸国のジョブ型雇用では、業務内容、就業場所、労働時間、スキルが明確に定められたうえで雇用契約が発生します。
1つの分野におけるスぺシャリストが育ちやすく専門的な知識が身に付くため、キャリアアップを図るために他社へ転職することも珍しくありません。

日本人の帰属意識が強い理由は、終身雇用が前提とされるメンバーシップ型雇用が大きく影響しているといわれています。
メンバーシップ型雇用では入社と同時に組織のメンバーとなり、業務を1人きりで担当することなくチームで担当することが多いため、テレワークには向かない場合が多いのです。

 

ハンコや紙書類などの企業文化

ハンコと紙中心の書類文化が根強く残っていたことも、テレワークの普及が遅れた大きな要因です。
新型コロナウイルス感染防止で実施された1回目の緊急事態宣言時も、契約書類に押印するためだけに出社する「ハンコ出社」が話題になりました。

今でこそ「脱ハンコ」や「ペーパーレス」が認知され、慣習的に残存していた企業文化をデジタル化に置き換えようという取り組みは増えていますが、依然として欧米諸国に比べれば、重要な契約や書類においてはハンコが必要になるケースが少なくありません。

株式会社SheepDogが発表した「ハンコ出社に関するアンケート」によれば、テレワークをしている社員のうち、週に1回以上ハンコ出社をしている人の割合は16%となりました。
ハンコや紙書類の文化は現在も根強く残り続けており、それがテレワークを導入する弊害になっていることも明らかであるといえます。

 

テレワークを普及させるために押さえておくべきポイント


テレワークを普及させるために押さえておくべきポイントイメージ

企業がテレワークを普及させるためには、下記のポイントを押さえておく必要があります。

  • 導入する意義やメリットを把握する
  • セキュリティの課題をクリアにする
  • テレワーク環境に合わせた社内ルールを構築する
  • 組織力と生産性の課題を解決する
  • 導入するICTツールの活用方法を共有する

この中でも特に重要なのが、企業にテレワークを導入する意義とメリットを、経営陣をはじめ社内全体で共有するという点です。

「テレワークを導入することで人材確保の課題をクリアできる」「社員のワークライフバランスを実現したい」など、明確な導入意義を社内で共有することが大切です。

他にも、セキュリティ対策、コミュニケーション不足による生産性低下、ICTツールの活用方法などは、テレワークを開始する前に社内ルールとして構築しておく必要があります。
多くのメリットがあるテレワークですが、社内の労務環境を大きく変える取り組みなので、一朝一夕ですぐに実施できるわけではありません。
事前に準備を整えたうえで、少しずつ普及していくように取り組みましょう。

 

まとめ


テレワークの普及率を企業規模、業種、地域別で詳しく紹介しました。

国内のテレワーク普及率は32.2%ですが、1,000人以上の規模がある企業は46.7%、大企業が多い関東では36.3%と、規模や地域により普及率に差があることがわかりました。
これから企業がテレワークを進めるためには、コロナ禍以前に普及しなかった理由を改めて考え直したうえで、テレワークを導入するまでの課題を1つずつ解決していく必要があります。

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