海外のテレワーク事情!普及率や生産性&日本との比較データも紹介

2023/05/08

新型コロナウイルス感染症をきっかけに、世界中に広まったテレワーク(リモートワーク・在宅勤務)。日本でも多くの企業がテレワークを導入しましたが、海外のテレワーク事情と比較すると、どのような違いがあるのでしょうか?

この記事では、海外のテレワーク事情や、日本との比較について詳しく解説します。また、日本でテレワーク実施率を高めるためのポイントも合わせてご紹介します。

 

日本のテレワーク事情について


まずは、日本のテレワークの普及率・実施状況やテレワーク下での生産性について見ていきましょう。


日本のテレワークの普及率・実施状況

内閣府が令和4年7月22日に発表した「第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」では、2022年6月時点の全国のテレワーク実施率は30.6%でした。

新型コロナウイルスによる影響が起こる以前の2019年12月時点のテレワーク実施率の全国平均は10.3%であったため、数年でテレワーク実施率が大きく増加したことがわかります。

一方で、テレワーク実施率は地域差が大きいこともわかりました。東京都23区では50.6%がテレワークを実施しているものの、地方圏は22.7%と、半分以下の数値です。

令和4年3月に公表された国土交通省の「令和3年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-」によれば「勤務地域別の雇用型就業者のテレワーカーの割合」は以下のようになっています。

telework21_図表1

また、テレワークの実施率は業種によっても大きな違いがあることがわかっています。

内閣府の「第5回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」では、業種別のテレワーク実施率(就業者)は以下のようになっています。

telework21_図表2

テレワーク実施率が最も高いのが、電気通信業や放送業、インターネット附随サービス業、情報サービス業などが含まれる「情報通信系」の業種で、75.9%と8割近くがテレワークを導入しています。

その他の業種では50%を下回り、中でも直接人が関わることが欠かせない小売業や、人の判断が必要とされる医療・福祉・保育関係、作業が必要となる運輸業や農林漁業のテレワーク実施率は低い結果となりました。

【関連記事】
テレワークの実施率は?現状と導入する際の5つの課題

 

日本のテレワーク下での生産性


telework21_2

テレワーク導入で気になるのが生産性についてですが、業務効率が高くなったと感じている人が多いことがわかっています。

ヒューマンリソシア株式会社が行った調査で「テレワーク実施による業務効率」について聞いたところ、「良くなったと思う(31.8%)」「やや良くなったと思う(24.6%)」となり、56.4%と半数以上の人がテレワーク実施で業務効率が増加したと回答しました。  

変わらないと答えた32.2%の人も含めれば、9割近くの人はテレワーク下でも業務効率が変化しない、もしくは効率が良くなったと感じているようです。

【関連記事】
派遣スタッフの在宅ワーク事情や業務効率は?導入メリット&効率化のコツ

 

アメリカのテレワーク事情について


ここでは、テレワーク発祥の地であるアメリカのテレワーク事情について見ていきましょう。

 

アメリカのテレワークの普及率・実施状況


telework21_3

出典:「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」(総務省)

総務省が公表する「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」では、アメリカで新型コロナウイルス感染症の感染拡大後に一度でもテレワークを実施したことがある人は57.9%、テレワークをしている人は35.3%という結果が紹介されています。

アメリカの企業のテレワーク導入率は世界的に見ても圧倒的に高く、2015年に「WorldatWork」が発表した統計によれば、アメリカの85%の企業がテレワークを導入しているといいます。

アメリカでは、2010年に制定された「テレワーク強化法(Telework Enhancement Act of 2010)」によって全省庁にテレワークに関するポリシー制定やテレワークマネジャーの任命が義務付けられており、国単位でテレワークが推進されていることがわかります。


アメリカのテレワーク下での生産性

telework21_4
出典:「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」(総務省)

アメリカでテレワークを実施している人に対して職場勤務と比較した場合のテレワークの生産性について聞いたところ、43.5%の人が「職場勤務と同じ」と回答。さらに、41.2%の人は「テレワークの方が効率的」と答えており、日本と同じく、テレワークで生産性が上がったと感じている人が多いことがわかっています。

 

 

ヨーロッパのテレワーク事情について


欧州でも、テレワークが広まっています。中には政府がテレワークについての法律の整備を進める国もあり、今後さらにテレワークが定着していくと考えられるでしょう。

telework21_5

出典:テレワークポータルサイト(厚生労働省・総務省)

EUでEuro foundが行った調査では、EU内で月1回以上テレワークを実施していた人は22.7%でしたが、新型コロナウイルス感染症が流行してからは36.5%の人がテレワークを始めたことがわかっています。

telework21_6

出典:「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」(総務省)

一方、EU Joint Research Centerが公表した新型コロナウイルス感染症前後のテレワークに関する調査では、「テレワークは急速に広がっているものの、特定の加盟国や職業に偏っている」として、格差拡大の可能性が指摘されています。

この格差拡大という課題に対応するため、欧州各国では政府が上記のようなテレワークに関する法整備を進めています。

 

日本と海外のテレワーク比較


ここからは、日本と海外のテレワークを比較したデータについてご紹介します。


テレワーク対象者と実施者の比較

野村総合研究所がまとめたレポート「2022年の日米欧のテレワーク状況と将来展望」では、テレワーク対象者(テレワークが可能な人)とテレワーク実施者(実際にテレワークをしている人)の比較について、以下のように紹介しています。(日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、イタリア、スイス、スウェーデン、ポーランドの8カ国が対象)

欧米各国では、テレワーク対象者の比率は高く、米英では60%以上、スイス、ドイツ、スウェーデンでも50%以上と、テレワーク可能な人の比率は極めて高い。日本は調査対象国では最も低く、テレワーク対象者の比率は29.7%であった。

引用元:「2022年の日米欧のテレワーク状況と将来展望」(野村総合研究所)

比率が最も高かったのがアメリカとイギリスで、約60%の人がテレワーク対象者、約50%の人がテレワーク実施者という結果が出ています。

日本は8カ国の中で最も低く、テレワーク対象者は29.7%、テレワーク実施者は19%という結果となりました。これはつまり、10.7%の人はテレワークができる環境ではあるものの、実施せず毎日オフィスに出社しているということになります。

コロナ禍前後の生産性の変化

野村総合研究所の同レポートではさらに、テレワーク対象者ほど、コロナ禍前と比較して生産性の高まりを実感していることが示されています。

すべての国で、テレワーク対象者の方が、テレワーク非対象者よりも、生産性は向上したと回答する比率が大幅に高い。日本は「比較できない/わからない」の回答が多いため、生産性向上を実感している人の比率は欧米諸国よりも小さいが、欧米同様テレワーク対象者の方が生産性向上を実感している。

引用元:「2022年の日米欧のテレワーク状況と将来展望」(野村総合研究所)

日本は欧米に比べてテレワーク対象者・実施者の割合は少ないものの、実際にテレワークを行った多くの人が生産性の向上を実感しているようです。


テレワークが進まない理由

telework21_7出典:「令和4年版情報通信白書 データ集」(総務省)

総務省が公表する「令和4年版情報通信白書 データ集」の「テレワークの利用が困難である理由に関するアンケート」からは、テレワークが進まない理由について、国による違いが見てとれます。

中国やアメリカ、ドイツで最も多いのは「インターネット回線の速度や安定性が不十分」という理由で、中国は37.5%、アメリカは35.3%、ドイツは22.7%の人が、インターネット環境が整っていないためにテレワークができないと考えているようです。一方、日本の場合は7.0%と、インターネット環境で困っている人は少ない割合に留まりました。

日本の場合、最も多いのが「ルールが整っていない」という点で35.7%でした。インターネット回線の速度や安定などテレワークができる環境はあるものの、それを実行するためのルール整備が追いついていないと感じている人が多いようです。

telework21_8

出典:「令和4年版情報通信白書 データ集」(総務省)

また、日本でテレワーク導入が進まない理由として、セキュリティも大きな課題の一つです。

総務省の調査ではテレワークの導入にあたって課題となった点について「セキュリティの確保」と答えた割合が51.6%と、半数以上がセキュリティについての課題を感じていることがわかっています。


テレワークによる支障・デメリット

野村総合研究所が公表する「新型コロナウイルスと世界8か国におけるテレワーク利用(ドイツ、スウェーデン、イタリア、イギリス、アメリカ、韓国、中国、日本が対象)」によれば、テレワークによる支障やデメリットと感じる点についても国別の違いがあることがわかっています。

中国と韓国は、顧客や委託先とのコミュニケーションにも難を感じる人が同程度いるが、日本はこの点についてはさほど困っていない。(中略)心理面での支障を見ると、アジア3か国とイタリアで「自宅では周囲からの目がなく気が緩む」人の比率が高く、イタリアを除く欧米諸国との対比が著しい。

引用元:「新型コロナウイルスと世界8か国におけるテレワーク利用」(野村総合研究所)

 

日本でテレワーク実施率を高めるために


コロナ前と比較すると日本でもテレワーク実施率は高くなっているものの、アメリカやヨーロッパのような法整備などはなく、政府からも「テレワークの推進」という通達のみとなっています。

日本でテレワーク実施率を高めるためには、これまで以上に国や企業全体でICT(情報通信技術)を積極的に導入していく必要があると考えられます。

また、テレワークが進まない理由として日本で最も多かった「ルールが整っていない」という点の改善のために、就業規則や評価制度をテレワークに合ったものに変えていくなどの対応も重要です。

海外の事例などを参考にして導入を進めていくのも、一つの方法でしょう。

 

まとめ


テレワークという働き方には課題もあるものの、実施した人の多くがメリットを感じており、業務効率化、生産性向上、BCP対策など企業にとっても多くのメリットがあります。柔軟な働き方に対応することで、雇用の幅も広がるでしょう。

ヒューマンリソシア』では、貴社のニーズに合わせ、全国49万人の登録者から最適な人材をご提案いたします。「派遣スタッフにもテレワークを導入したいがどうすればいいかわからない」「即戦力としてテレワークで仕事ができる人材を探している」とお考えでしたら、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちら

 


人材採用や確保に抱える企業のご担当者様

採用力強化のためのテレワーク活用のご提案

https://resocia.jp/special/telework/

 

 

お問い合わせはこちら

合わせて読みたい

テレワークの推移をデータ別に解説!実施率低下も従業員の継続意向は高め

テレワークの普及率はどれ位?企業で普及させるための重要ポイントを紹介

テレワークの実施率は?現状と導入する際の5つの課題