新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、日本でも急速に在宅ワーク(テレワーク・リモートワーク)が広まりました。政府も正社員と同様に派遣スタッフの在宅ワーク化を推奨しており、現在では、派遣スタッフにも在宅ワーク化の流れが及んでいます。
総合人材サービス会社のヒューマンリソシア株式会社では2022年8月、派遣スタッフとして働く方に対して、在宅ワークに関するアンケート調査を実施いたしました。
この記事では、派遣スタッフの在宅ワーク事情や、在宅ワークによって業務効率にどのような変化があったのか、アンケートデータをもとに詳しく解説します。
正社員と派遣スタッフでは在宅ワークの導入率に差があるものの、厚生労働省も「派遣労働者等に係るテレワークに関するQ&A」で「派遣スタッフが在宅ワークのみで働くことは可能」としています。
実施したアンケート結果でも、在宅ワークによるポジティブな影響が明らかになっています。
ここからは、派遣スタッフが在宅ワークを実施した経緯や継続期間など、派遣スタッフの在宅ワーク事情について詳しく解説します。
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アンケート調査結果では、在宅ワークの実施によって仕事のモチベーションが上がったと回答した人が計63.0%と、6割超が仕事に対する意欲が向上したことがわかりました。
現代では働き方の多様化が進んでおり、ワークライフバランスを重視する人が増えています。これに伴い、受け入れ側の企業も、多様化する働き方に対応する制度を整えることが求められていることが、内閣府の「第2章 労働市場の多様化とその課題 第2節」でも示されています。
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週に1日以上在宅ワークで仕事をしている派遣スタッフの方500名に対して「テレワークを実施した経緯」を聞いてみたところ、「会社からの指示でテレワークを実施した」が83.8%で最多となりました。
また、自分から在宅ワークを希望した人も計10.4%おり、5.8%の人はこれまでの仕事を辞めて、在宅ワークができる企業に転職しています。
在宅ワークの継続期間についての質問では「2年~3年未満」と回答した人が最も多く、39.0%という結果に。このことから、新型コロナウイルス感染症による外出自粛をきっかけとして在宅ワークを始めた人が多いことが推測できます。
内閣府が行った「第4回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」でも、全国のテレワーク実施率はコロナ前の2019年12月は10.3%でしたが、2021年9〜10月には32.2%に上昇。東京都23区に限れば55.2%以上と、半数以上が在宅ワークを実施しています。
出典:「第4回 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」(内閣府)
総務省が公表する「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」では在宅ワーク実施者の66.4%が「今後も在宅ワークを継続したい」と回答しており、在宅ワーク実施率だけでなく、実施後の満足度も高いことがうかがえます。
出典:「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」(総務省)
社会全体で在宅ワークの導入率が増加したことで、正社員だけでなく派遣スタッフの在宅ワーク実施率も増えています。
ここからは、派遣スタッフの在宅ワーク実施による業務効率の変化について、アンケート結果をもとに詳しく見ていきましょう。
在宅ワークを実施したことで業務効率にどのような変化があったかという質問に対して「良くなったと思う」と回答した人が31.8%、「やや良くなったと思う」と回答した人が24.6%で、合計56.4%の人が、在宅ワークによって業務効率が高まったと感じていることがわかりました。
さらに「変わらない」と回答した人32.2%を含めると、全体の88.6%の人が、在宅ワーク実施前と変わらない業務効率を維持できている、もしくは向上しているということがわかります。
在宅ワークの導入にあたって業務効率の低下を心配する声も少なくありませんが、実際には効率アップを実感しているスタッフが多いようです。
ではなぜ、在宅ワーク実施によって業務効率がよくなったのでしょうか?
その理由についての質問の回答で最も多かったのが「移動時間が減ったから」というもので、83.0%と大きな割合を占めました。
事実、通勤時間は多くの人々の負担となっているようです。
総務省統計局「社会生活基本調査から分かる47都道府県ランキング (平成28年社会生活基本調査結果より)」によれば、通勤時間の全国平均は1時間19分(片道39.5分)であることがわかっています。これは1ヶ月(20日間)に換算すると26時間20分にもなります。
ニッセイ基礎研究所が行った通勤時間と幸福度の関係に関する研究では、通勤時間が幸福度に影響する可能性が指摘されており、通勤時間が長くなるほど幸福度が低下する傾向にあるといいます。
通勤時間の削減は、単に使える時間が増えるだけでなく、従業員の肉体的・精神的な疲労やストレスを減らすことや、ワークライフバランスの実現につながります。
派遣スタッフへの在宅ワーク導入には、以下のように多くのメリットがあります。
特に女性の場合、結婚や出産・育児などをきっかけに退職することも多く、企業にとって貴重な人材を手放すしかない状況になっています。
在宅ワーク環境を整えて家庭と仕事の両立がしやすくなれば、優秀な人材の流出を防ぐことにもつながります。
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ここからは、在宅ワークの業務効率を高めるためのポイントを解説します。ポイントを押さえて、在宅ワーク時の効率アップを図りましょう。
在宅ワーク環境では、部下が仕事をしている環境が見えないため、一人ひとりを管理することが困難になります。また、管理者が近くにいないため、仕事のプロセス管理を一人ひとりが個人で行わなければならず、成果にバラつきが生じやすくなります。
そのため、あらかじめ目標設定や進捗管理を行うことが大切です。
目標設定が明確になっていれば、部下は自分の仕事の成果や貢献度を把握しやすくなります。上司としても、目標達成の基準で評価しやすくなるでしょう。
進捗状況をチーム全体が確認できる状態にしておくことも重要です。お互いのタスクを見える状態にしておけば、万が一のときもチームメンバー間でスムーズにフォローし合えるでしょう。
在宅ワーク時は、自宅のインターネット回線速度やセキュリティ対策などといったIT環境が非常に重要です。在宅ワークで重要となるセキュリティ対策については、あらかじめ社内で取り決めておくといいでしょう。
快適に仕事ができるように、パソコンやモニター、キーボードなどの周辺機器、チャットやビデオ会議などのコミュニケーションツールを用意しておく必要があります。
また、在宅ワークでは自宅が仕事場になるため、周囲の環境面にも気を配る必要があります。集中できる静かな場所を確保したり、机や椅子などの家具を工夫したりして、長時間デスクに向き合う疲労や負担を軽減することが大切です。
現在では、在宅ワークを快適に行うためのさまざまなICTツールが登場しています。業務内容や進捗状況を可視化できるタスク管理ツール、勤怠管理ツール、Web会議システム、チャットツールなども活用すると、便利に環境整備を進められるはずです。
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在宅ワークでは、紙媒体での情報共有が難しくなります。ペーパーレス化を進めることで、情報漏洩のリスクを減らしたり、情報管理や検索が容易になり、業務効率を高められるでしょう。
クラウドサービスや電子署名などのペーパーレス化ツールを活用しながら、段階的に進めていくのがおすすめです。
コミュニケーションは、在宅ワークの大きな課題といわれています。
一人で集中して黙々と仕事をこなせるというメリットがある一方、上司や同僚、チームメンバーとのコミュニケーション不足に起因するストレスや孤独感、不安を感じる従業員も少なくないようです。
コミュニケーションツールの導入など、在宅ワーク環境下に相応しいコミュニケーション環境を整えることで、業務効率向上につなげられるでしょう。
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これまでは難しいと思われていた派遣スタッフの在宅ワーク化ですが、実際に働く人へ調査を行ってみると、在宅ワークに切り替えたことで「仕事へのモチベーションアップ」「業務効率の向上」など、ポジティブな影響を実感している人が非常に多いことがわかります。
在宅ワークは優秀な人材の確保、離職防止、コスト削減、BCP対策といった企業が得るメリットだけでなく、働く側にも多くのメリットを提供できる働き方です。
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また、完全在宅ワークのみではなく、在宅と出社を組み合わせた就業形態も、人材確保には非常に有効です。就業形態についてもご相談いただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
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