「テレワークに切り替えたいがモチベーション維持が難しいと感じる」「従業員エンゲージメントの低下の懸念がある」など、企業で働く従業員のモチベーションやエンゲージメントの問題は、テレワーク時の課題の一つです。
総合人材サービス会社のヒューマンリソシア株式会社では、派遣スタッフとして働く方1000名を対象に、テレワークに関するアンケート調査を行いました。(調査期間:2022年8月23日~8月25日)
この記事では、アンケートデータをもとに、テレワーク環境下のモチベーション・エンゲージメントの関係性について詳しく解説します。
テレワークによる仕事へのモチベーションの変化について聞いてみたところ、「上がった」が30.6%、「やや上がった」が32.4%で、計63.0%の人がモチベーションが高まったと回答しました。
「変わらない」と回答した31.0%の人も含めると、計94.0%の人はテレワーク環境でもモチベーションを維持できているなど、テレワークのポジティブな影響がわかります。
モチベーションは、生産性に大きく影響する部分です。従業員一人ひとりが高いモチベーションを持って業務に取り組むことができれば、組織全体の生産性の大幅な向上が期待できます。
テレワークは従業員の仕事だけでなく、生活の質の向上にも貢献しています。
「あなたが感じたテレワークの仕事に関するメリットをお答えください」という質問では87.4%の人が「通勤時間が省ける」と回答しています。また、71.8%の人は「自分の時間が増える」ことがメリットだと感じており、テレワークはワークライフバランスの実現に大きく影響していると考えられます。
次いで「人間関係のストレスが減る」「業務に集中できる」と回答している人が多く、仕事を続ける上での肉体的・精神的なストレスや疲労を減らしつつ、生産性を上げる効果も期待できます。
テレワークができることのメリットを、テレワークの実施状況別で見てみたところ、「テレワーク実施あり」と「テレワーク実施なし」の人ではそれぞれ、テレワークのメリットの感じ方に大きな差があることがわかりました。
テレワークを実施している人の多くがメリットを実感しており、「人間関係や通勤のストレスが減る」「プライベートの時間が充実する」と答えた人は67%超にのぼります。また、半数近い人が「家事と両立できる」と答えています。
通勤時間をなくせることは、テレワークの大きなメリットです。
総務省統計局「社会生活基本調査から分かる47都道府県ランキング (平成28年社会生活基本調査結果より)」によれば、通勤時間の全国平均は1時間19分という結果が出ています。
これは1ヶ月(20日間)に換算すると26時間20分にもなり、テレワークにすることで満員電車や渋滞といったストレスを無くせるだけでなく、その分の時間を仕事にあてたり、自分の趣味やスキルアップ、家族との時間など有意義に使うことができます。
アンケート結果からは、求職者が仕事を探す際にも「テレワークの有無」が大きく影響していることがわかりました。
上図の「仕事を探す際重視すること」の質問では「仕事内容が自分に合っている」が最も高く、次いで「給与が良い」となり、「テレワークができる」はあまり高くありません。
しかし、テレワーク実施者とテレワーク未実施者で見てみると、テレワークを経験した人は「仕事内容が自分に合っている」の71.2%に次いで「テレワークができる」が66.4%となり、テレワークができることを重視して仕事探しをしていることがわかります。
テレワークで働けることに大きなメリットを感じている人は多く、「テレワークによって通勤や人間関係のストレスなどを減らせるなら、何かしらと引き換えにしても良い」と感じている人が8割超にのぼることもわかっています。
特に、雇用形態にこだわらないという人は、どの項目でも最も高い数値となりました。
【詳細はこちら】
[派遣スタッフのテレワークに関する調査] 「テレワークができるなら何かしらと引き換えにしてもよい」が8割超
アンケート結果からは、テレワークは生産性や業務効率の向上や従業員のモチベーションアップだけでなく、従業員エンゲージメント(従業員の企業に対する理解度や貢献意欲)にもポジティブな影響を与えていることが窺えました。
「今の仕事が好きですか」という質問では、「好き」「やや好き」と答えた割合はテレワーク実施なしの人は計53.2%であるのに対し、テレワーク実施ありの人は計59.6%という結果が出ています。
テレワーク実施ありの人の方が6.4ポイント高く、テレワークは従業員エンゲージメントを向上させていると推測できます。
従業員エンゲージメントが高まると、モチベーションが向上することで自社の商品やサービスの品質向上が期待できます。さらに、転職や他社のヘッドハンティングによる人材の流出防止や離職率低下につながるなど、人手不足が深刻化し、人材の流動化が進む昨今では従業員エンゲージメントを高める取り組みが重要です。
【詳細はこちら】
[派遣スタッフのテレワークに関する調査] 「テレワークができるなら何かしらと引き換えにしてもよい」が8割超
テレワークの課題として多くの人が挙げたのが「コミュニケーション」の問題です。
テレワークは集中して仕事ができるのがメリットですが、オフィスで仕事をしていたときのようにはコミュニケーションが取れないため、上司や同僚、部下との意思の疎通が難しくなります。
また、「モチベーションの維持が難しい」という内容も一定数の人が回答しており、中でも子育て中の女性については、この割合が他より高い傾向が見られました。これは、家庭での子育てと仕事の切り替えが難しいためであると予測されます。
このように、課題もあるものの、テレワーク継続を望む従業員は多く、求職者も仕事に求める条件としてテレワークを重視している人が多く存在します。テレワークをやるか・やめるかではなく、より良い環境に改善していくための取り組みを行うことが重要です。
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従業員エンゲージメントを高めると、企業に対する貢献意欲が高まり、職場の活性化や顧客満足度の向上、離職率の低減につながります。
では、具体的にどのような取り組みを行えば、テレワーク環境でエンゲージメントを高めることができるのでしょうか?ここでは、テレワーク環境でエンゲージメントを高める4つの方法について解説します。
テレワークの課題でもあるコミュニケーションへの対策を行うことで、業務効率化や生産性の向上につながります。
ICTツールの整備、ビデオチャットの活用、ペーパーレス化など、オフィスで仕事をするときと同じようにスムーズに情報共有できる環境を整えて、円滑なコミュニケーションができるようにしましょう。
仕事の話題だけでなく、雑談などの機会を提供すると、テレワークでの孤独感や不安を和らげ、上司と部下や、従業員同士の信頼関係の構築につながります。
また、仕事をする従業員がスキルアップできる機会を作ることや、成長を実感できることも重要です。優れたスキルや経験を持っていても、それを活かせていないと感じると、従業員のモチベーションが下がってしまいます。
持っているスキルを活かし、成長できる機会を作ることで、パフォーマンス向上につながるだけでなく、仕事のやりがいにつながるでしょう。
個人の目標と組織の目標との整合性を確認し、意義ある仕事であることを認識させることも、モチベーション向上につながります。
自分の努力が評価につながらなかったり、無下にされると、仕事へのモチベーションが低下してしまいます。管理者が一人ひとりの従業員に関心を示し、テレワークのメリット・デメリットを理解した上で、リーダーシップによってチーム全体の士気を高めることが大切です。
リーダーがチームの目標やビジョンを明確に示せば、一つの目標に向けてチーム全体で取り組むことができるようになります。チームワークや信頼関係を築くことは、自分が属する組織への愛着を強めることにもつながるでしょう。
テレワークでは、オフィスのように顔を合わせることがないため、評価制度への不満が生じやすいといわれています。
自分の努力による成果が正当な評価を得られないと、貢献したいという意欲も湧いてきません。モチベーションを保つためにも、従業員の仕事の成果に対し、納得度の高い評価をすることが大切です。
単にチーム全体を褒めるだけでなく、一人ひとりの個人が行った具体的な貢献や工夫について評価し、褒めたり、インセンティブを提供しましょう。評価制度自体に問題があると考えられる場合は、公平性の高い制度へ改善することも有効です。
テレワークではモチベーションやエンゲージメントの低下が懸念されることも少なくありませんが、実際にテレワークで仕事をしている人の多くは、モチベーションの向上や今の仕事への愛着度の上昇など、ポジティブな影響を実感していることがわかっています。
「コミュニケーションの取りにくさ」「モチベーション維持の難しさ」「仕事とプライベートのメリハリの付け方」といったテレワークでみられがちな課題への対策を行うことで、さらなる業務効率・生産性アップが期待できるでしょう。
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