IT技術者は811万6千人、規模・成長力でリードする中国とインド
「IoT」「ビッグデータ」「人工知能」「ブロックチェーン」 - 新しい技術が次々に登場し、IT業界はより複雑化、高度化しています。このような中、日本国内ではIT技術者不足が叫ばれ、世界の潮流に乗り遅れかねないとの懸念が広がっています。いかに優秀なIT技術者を確保するか、という課題は、IT業界に属するIT企業はもちろん、ITを活用するいわゆるユーザー企業にとって、最も重要なテーマの一つとなっています。
そこで、選択肢の一つとして注目を集めているのが、海外のIT技術者です。
この連載では、世界のIT技術者の実態を、可能な限り網羅的に調査することを試みました。
主には、国際労働機関(ILO)、経済協力開発機構(OECD)、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)のデータを活用し、世界主要各国の「IT技術者数」「IT技術者の平均給与」「IT関連学部の卒業生数」にフォーカスして調査した結果を、世界の地域毎にレポートしていきます。
第1回目となる今回は、アジア・オセアニア地域のIT技術者数についての調査結果をご紹介します。
◆世界92カ国のレポートは、下記にて公開しています
「92 カ国をデータで見みるITエンジニアレポートvol.1 世界各国のIT技術者数まとめ」
URL:https://git.resocia.jp/info/post-developers-around-the-globe-survey/
※本連載では、下記20の国・地域をアジア・オセアニアとして調査していきます(※略称、順不同)。中国/インド/日本/韓国/インドネシア/フィリピン/オーストラリア/ベトナム/台湾/パキスタン/タイ/イラン/マレーシア/バングラデシュ/香港/ニュージーランド/シンガポール/スリランカ/ミャンマー/カンボジア
※IT技術者数は、情報通信業に就業しており、国際標準職業分類 で「専門職」「技師、准専門職」に分類された人としています。
※中国、インド、インドネシア、台湾、ニュージーランドの5カ国・地域に関しては、IT技術者数を特定するデータを収集できなかったため、「他15カ国の情報通信業就業者に占めるIT技術者の割合の平均値が57.5%であることから、これと同等にIT技術者が存在する」と仮定して算出しています。
アジア・オセアニア20カ国のIT技術者は推計811万6千人
アジア・オセアニア20の国・地域の情報通信業就業者数とIT技術者数を集計してまとめたものが、図表①「各国の情報通信業就業者数とIT技術者数~アジア・オセアニア編」です。
この結果によると、この地域においてIT技術者の多い国は、227万2千人のIT技術者を有する中国がトップ、次いで、212万人のインド、109万人の日本、66万3千人の韓国、そして33万人のインドネシアとなりました。
また、アジア・オセアニア地域全体では、IT技術者数は合計811万6千人となりました。なお、この地域において日本のIT技術者が占める割合は、約13%となります。
<出典>
国際労働機関(ILO)の統計データベースおよび下記より作成。
中国:「中華人民共和国国家統計局」データ、インド:NASSCOM, The IT Industry in India: Strategic Revie、
日本:「労働力調査」
<情報年>
2018年:日本、台湾 2017年:中国、韓国、フィリピン、ベトナム、イラン、バングラデシュ、スリランカ、ミャンマー
2016年:インド、オーストラリア、パキスタン、タイ、マレーシア 2015年:インドネシア、香港、ニュージーランド、
シンガポール 2012年:カンボジア
IT技術者の割合が高いのは韓国、次いでニュージーランド、オーストラリア、シンガポール
次に、各国の人口に占めるIT技術者の割合を見ていきたいと思います。
これをまとめたものが、図表②「各国の人口に占めるIT技術者の割合~アジア・オセアニア編」です。この結果、アジア・オセアニアにて最もIT技術者の割合が高い国・地域は、韓国の1.29%、次いでニュージーランドの1.14%、オーストラリアとシンガポールの1.03%、香港の1.01%と続き、日本は6位となる0.86%となりました。
IT技術者の人数ベースでトップ2の中国とインドは、ともに0.16%で、いずれもIT技術者の割合は低い結果となりました。
IT技術者数の伸び率トップ3は、フィリピン、中国、ニュージーランド
では、この地域の各国では、IT技術者はどのくらい増えているのでしょうか。
ここでは、IT技術者数をデータが収集できた直近年と比較した増減率をまとめた、図表③「各国のIT技術者数の伸び率~アジア・オセアニア編」を見ていきたいと思います。
この地域のIT技術者数の伸び率トップ3は、1位がフィリピンの8.77%、次いで中国の8.59%、ニュージーランドの8.24%となりました。また、IT技術者数2位のインドも、5.71%増加しています。
このことから、中国、インドの2大国は、規模そして成長力の面から、この地域のIT人材を考える上で重要となることは間違いないと推測できます。
一方日本は、ITエンジニア数の増加率は4.81%と、データが集計できた17カ国中8位という結果となりました。国内がデジタル化・デジタルトランスフォーメーション推進に向かい、IT技術者不足が叫ばれている状況を踏まえると、少し心許ない結果となりました。
※出典・情報年については、図表①と同じ
※前年のIT技術者数のデータがない国(中国、インド、インドネシア、フィリピン、台湾、マレーシア、バングラデシュ、香港、ニュージーランド、シンガポール)は、前年についても該当年のIT技術者の就業者に対する割合と変わらないと仮定して算出
◆世界92カ国のレポートは、下記にて公開しています。
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