第11回:世界各国のIT分野の卒業者数は?~アジア・オセアニア編~

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IT分野の卒業者、圧倒的人数を輩出するインド、一方日本は減少傾向に

これまで、世界92カ国のIT技術者について、IT技術者数と給与について調査してきました。
第11回からは、IT技術者の大きな人材供給源となるIT分野の卒業者について、情報通信技術関連を専攻した卒業者数と、AI(人工知能)やビッグデータ解析などで重要となる科学・数学・統計学などSTEM関連分野を専攻した卒業者数についてまとめた結果を、地域毎にご紹介していきます。

まずは、アジア・オセアニア編です。

なお、本連載では、経済協力開発機構(OECD)や国際連合教育科学文化機関(UNESCO)、各国の統計データなどを元に分析しています。

※本連載では、下記20の国・地域をアジア・オセアニアとして調査していきます(※略称、順不同)
中国/インド/日本/韓国/インドネシア/フィリピン/オーストラリア/ベトナム/台湾/パキスタン/タイ/イラン/マレーシア/バングラデシュ/香港/ニュージーランド/シンガポール/スリランカ/ミャンマー/カンボジア 
※出典元は下記となります
情報通信技術分野専攻の卒業者数:
・OECDおよびUNESCOの統計データより、情報通信学専攻の短大等を含む大学(学士、修士、博士)卒業者数
・日本は文部科学省の学校基本調査より、電気通信工学専攻の短大等を含む大学(学士、修士、博士)卒業者数
・中国は中華人民共和国国家統計局のデータよりエンジニアリング専攻の大学学部卒業者数
科学・数学・統計学専攻の卒業者数:
・OECDとUNESCOの統計データより、Natural sciences, mathematics and statistics専攻の短大等を含む大学(学士、修士、博士)卒業者数
・日本は文部科学省の学校基本調査より、理学専攻の短大等を含む大学(学士、修士、博士)の卒業者数
・中国は中華人民共和国国家統計局のデータよりサイエンス専攻の大学学部卒業者数

IT分野の卒業者、インド55.0万人、日本は3.4万人に留まる、地域全体では93.5万人

まずは、アジア・オセアニア地域の20の国・地域における、情報通信技術関連を専攻した卒業者数を、図表①にて見ていきたいと思います。なお、中国はエンジニアリング専攻の大学学部卒業者数を引用しているため、参考値としています。

地域で最も卒業者が多いのは、インドの約55.0万人となりました。なお、参考値となりますが、中国のサイエンス専攻の大学学部卒業者数は約118.0万人でした。IT技術者数で地域トップ2となる中国とインドが圧倒的な人数の卒業者を送り出しています。

次いで、イランが7万7,501人、フィリピンが7万7,250人、ミャンマーが4万6,432人、インドネシアが3万8,897人と続きました。

一方、世界4位のIT技術者数を抱える日本(※参照:https://git.resocia.jp/info/post-developers-around-the-globe-survey/)は3万3,656人で、アジア・オセアニア地域にて6位という結果となりました。

アジア・オセアニアでデータが確認できたのは16の国・地域で、中国を除いた地域全体では、年間約93.5万人のIT分野の卒業者が送り出されています。

図表①「情報通信技術分野の卒業者数」

<出典および情報年(カッコ内)>
*インド(2016年)、韓国(2016年)、インドネシア(2015年)、オーストラリア(2016年)、ニュージーランド(2016年):OECD. Stat
*フィリピン(2017年)、マレーシア(2017年)、ミャンマー(2012年)、ニュージーランド(2017年)、シンガポール(2016年)、タイ(2016年)、ベトナム(2016年)、カンボジア(2015年)、バングラデシュ(2017年)、イラン(2016年):UNESCOStat
*中国は、中華人民共和国国家統計局よりエンジニアリングの大学学部卒業者数
*日本は文部科学省「学校基本調査」より、電気通信工学専攻の卒業者数
*OECD、UNESCO、学校基本調査は、短大等を含む大学(学士、修士、博士)にて情報通信技術分野を専攻した卒業者数

IT技術者の供給力、地域トップはミャンマー、日本は韓国に次いで低い結果

続いて、各国のIT技術者の需給バランスの参考として、現役IT技術者に対するIT卒業者数の割合を見ていきたいと思います。この数値が高いほど、新たにIT技術者となりえる卒業者が多く輩出されており、IT技術者の供給力が高いと推測できます。なお、各国のIT技術者数については、連載の「第1回:世界各国のIT技術者数~アジア・オセアニア編~」で調査した結果を引用しています。

これによると、IT技術者数に対するIT卒業者数の割合が最も高いのは、ミャンマーの244.4%となりました。1年間で、現役IT技術者の約2.5倍の卒業者が生まれていることになります。
次いでイランが58.3%、フィリピンが42.9%、インドが26.0%となりました(図表②)。

一方、IT技術者数が109万人の日本は3.1%で、データが確認できた16の国・地域の中では、1.4%の韓国についで低い数値となりました。国内でIT技術者不足が叫ばれる中、アジア各国と比較しても、IT分野を学ぶ学生が少ないと言えます。

図表②「IT術者数に対する情報通信技術分野の卒業者数の割合」

※出典および情報年は、図表①と同じ

IT分野の卒業者数、最も増加率が高いのはタイの25.0%、日本は1.4%の減少

続いて、IT分野の卒業者数の増加率を、時系列でデータが取得できた直近の前年比にて算出した図表③で見ていきたいと思います。
地域で圧倒的にIT技術者数が多い中国は、エンジニアリング専攻卒業者数が4.3%伸びています。
一方、IT技術者数地域2位のインドは、6.0%減少しています。

データを確認できた9カ国の中で最も卒業者数の伸びが高いのは、タイの25.0%、次いでニュージーランドの13.6%、オーストラリアの6.2%となりました。なおタイは、IT技術者の給与が世界で最も上昇している国であり、ニュージーランドおよびオーストラリアは、世界でもIT技術者給与が高い国です(※参照:https://git.resocia.jp/info/post-developers-around-the-globe-survey-salary/)。

一方日本は、情報通信技術を専攻した卒業者が少ない上に、1.4%減少しているという結果でした。

図表③「情報通信技術分野の卒業者数の増加率」

※出典および情報年は、図表①と同じ

STEM関連分野でも、インドが圧倒的な人数の卒業者を輩出、日本は年間約3万人

次に、今後、AI(artificial intelligence:人工知能)やビッグデータの解析等において重要になるSTEM関連分野について、科学・数学・統計学などを専攻した卒業者で見ていきたいと思います。

地域1位は、歴史的・伝統的に数学に定評があるインドで、113万6,588人と卒業者数が際立って多い結果となりました。次いで、ミャンマーが8万1,686人で2位にはいりました。ミャンマーはIT分野の卒業者も多く、これからのIT産業の発展に期待が寄せられます。そして3位には、42,503人のイランが続きました。

一方日本は3万99人に留まり、地域6位となりました。

また中国は参考値としていますが、サイエンス専攻の卒業者数が25万5,632人となり、この分野においても、中国とインドの2国が目立つ結果となりました。

なお、アジア・オセアニアでデータを確認できた16カ国の合計は、中国を除き、約146.7万人となりました。

図表④「科学・数学・統計分野の卒業者数」

※出典および情報年は、図表①と同じ
※OECDとUNESCOはNatural sciences, mathematics and statistics専攻の卒業者数
※日本は、理学専攻の卒業者数
※中国のみsciences専攻の大学学部卒業者数

STEM関連分野の卒業者、増加率1位はタイ、日本は1.1%の減少

続いて、科学・数学・統計学などSTEM関連分野の卒業者数の増加率を、図表⑤にて見ていきたいと思います。なお、時系列でデータが取得できた直近の前年比にて算出しています。

これによると、この分野の卒業者数で圧倒的1位であるインドは2.6%増、また中国もサイエンス専攻卒業者数は0.1%増と、微増ながらも増えています。

データを確認できた9カ国の中で最も増えているのが、IT分野と同じくタイの20.0%となりました。タイは、IT教育が盛んで、職業としてのIT技術者の人気が高いと推測できます。

なお、日本は1.1%の減少となり、卒業者数が少ない上に、減少しているという結果となりました。

図表⑤「科学・数学・統計分野の卒業者数の増加率」

※出典および情報年は、図表④と同じ

 

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