T先進国が多い西ヨーロッパ諸国、IT技術者の給与は日本を上回る
世界92カ国のIT技術者についての調査結果、給与編。アジア・オセアニア、米国・中南米に続き、今回は西・南ヨーロッパ19カ国について考察していきたいと思います。なお、本連載では、国際労働機関(ILO)の統計データベースから引用した情報通信業の就業者の平均年収と、企業の給与などに関する情報を収集・提供している「PayScale」より引用した「Software Engineer」の給与データを活用しています。
◆世界92カ国のレポートは、下記にて公開しています
「92 カ国をデータで見みるITエンジニアレポートvol.2 世界各国のIT技術者給与まとめ」
URL:https://git.resocia.jp/info/post-developers-around-the-globe-survey-salary/
※本連載では、下記西ヨーロッパ9カ国、南ヨーロッパ10カ国を調査しています(※略称、順不同)
西ヨーロッパ:英国、ドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、スイス、オーストリア、アイルランド、ルクセンブルク
南ヨーロッパ:スペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャ、セルビア、クロアチア、スロベニア、マケドニア、マルタ、モンテネグロ
※IT技術者は、情報通信業に就業しており、国際標準職業分類 で「専門職」「技師、准専門職」に分類された人としています
※情報通信就業者とは、IT技術者に限らず、情報通信業にて就業している人を指します。そのため、人事や管理部門など、様々な職種の人が含まれます
西ヨーロッパ
IT技術者給与、スイスが断トツの1位、全9カ国中8カ国が日本を上回る
まずは、9カ国すべての国でIT技術者数が日本より多い西ヨーロッパについて(参照:「第3回、世界各国のIT技術者数 ~西・南ヨーロッパ編~」)、IT技術者の給与を、図表①で見ていきたいと思います。
IT技術者の年収ベースの給与(オレンジ)では、トップはスイスの92,500USドルとなりました。
その他の主要国では、ドイツが57,495USドル、イギリスが44,680USドル、フランスは42,384USドルとなりました。
なお、日本(42,464USドル)と比較すると、フランスを除く西ヨーロッパの8カ国が、日本より給与が高いという結果となりました。
<出典>
国際労働機関(ILO)の統計データベースおよびPayScaleにて検索した結果より作成(検索日は2019年5月30日)
<情報通信業就業者の平均年収の情報年>
フランスが2014年、他は2016年
情報通信業就業者の給与、1位は同じくスイス、高給与のエグゼクティブ層が多い西ヨーロッパ
次に、図①にて情報通信業就業者の給与(ブルー)を見ていきたいと思います。
1位は、IT技術者給与と同じくスイスで、117,084USドルと他の国を大きく上回りました。
続いて、代表的なIT先進国であるドイツの71,556USドル、65,700USドルのアイルランドとなりました。
また、フランスは60,096USドル、イギリスが54,360USドルと、データを確認できたすべての国が、日本の平均年収40,968USドルを大幅に上回る結果となりました。
オーストリアおよびオランダを除く7カ国にて、IT技術者より情報通信業就業者の方が、給与が高いことがわかりました。これは米国と同様で(参照:第7回:世界各国のIT技術者の給与は?~米国・中南米編~)、IT先進国の情報通信業界では、IT技術者よりも高い給与をもらっているエグゼクティブ層が多いと推測されます。
IT技術者給与の伸び率は、いずれの国もほぼ横ばい
次に、IT技術者の給与(平均年収)の伸び率(対データが収集できた直近年比)を見ていきたいと思います。なお、IT技術者(Software Engineer)では、時系列で比較可能なデータを得ることはできず、情報通信業就業者の年収データを比較した図表②「情報通信業就業者の給与(平均年収)伸び率~西ヨーロッパ編」で考察していきたいと思います。
IT先進国と言われるイギリスおよびドイツについては、それぞれ▲8.3%、▲1.4%と、いずれも伸び率はマイナスとなりました。
データが確認できた5カ国の中で伸び率がプラスとなったのは、オーストリア(1.1%)、ルクセンブルク(0.7%)、ベルギー(0.2%)の3カ国でしたが、いずれもほぼ横ばいの結果となりました。
<出典>国際労働機関(ILO)の統計データベースより作成
<情報年>図表①と同じ
IT技術者の給与、最も高いのはスペイン、次いでイタリア
続いて南ヨーロッパ10カ国のIT技術者給与について、図表③で見ていきたいと思います。
南ヨーロッパにてデータが確認できた4カ国のうち、最も給与が高いのはスペインの34,680USドルで、次いでイタリアの33,140USドル、ギリシャの20,524USドル、ポルトガルの20,050USドルとなりました。
<出典>
国際労働機関(ILO)の統計データベースおよびPayScaleにて検索した結果より作成(検索日は2019年5月30日)
<情報通信業就業者の平均年収の情報年>
クロアチアが2011年、マケドニアとマルタが2014年、モンテネグロが2015年、他は2016年
情報通信業就業者の給与、1位マルタ、2位スペイン、すべての国で日本を下回る
次に、同じく図表③にて、南ヨーロッパ10カ国の情報通信業就業者の給与(平均年収)を見ていきたいと思います。
最も給与が高かったのは、人口約40万人の小さな島国であるマルタで35,316USドルでした。次いで、スペインが35,256USドル、イタリアが31,080USドルとなりました。
西ヨーロッパ各国と比較すると年収レベルは低く、10カ国すべての国で日本の年収を下回る結果となりました。
また、スペインとイタリアは、IT技術者と情報通信業就業者との給与の差異はほとんどありませんでした。ギリシャとポルトガルでは情報通信業就業者よりIT技術者の給与がかなり高いという結果となりました。
IT技術者給与の伸び率、スペインは大幅なマイナス、伸び率トップはギリシャ
続いて、IT技術者給与(平均年収)の伸び率(対データが収集できた直近年比)を見ることで、IT技術者の給与の伸びを見ていきたいと思います。なお、IT技術者(Software Engineer)では、時系列で比較可能なデータを得ることはできず、情報通信業就業者の年収データを比較した図表④「情報通信業就業者の給与(平均年収)伸び率~南ヨーロッパ編」で考察していきます。
最も伸び率が高かったのはギリシャの9.5%、次いでセルビアの7.6%、ポルトガルの4.8%となりました。
一方、南ヨーロッパで最もIT技術者が多いスペインは、IT技術者の給与伸び率が▲5.9%と大幅なマイナス、イタリアも0.2%でほぼ横ばいという結果となりました。
<出典>国際労働機関(ILO)の統計データベースより作成
<情報年>図表③と同じ
◆世界92カ国のレポートは、下記にて公開しています
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