給与トップの米国、エグゼクティブ層の給与の高さが際立つ
世界92カ国のIT技術者についての調査、給与編。今回は、前回第6回のアジア・オセアニア編に続き、世界最大規模のIT技術者を有する米国と中南米14カ国についての調査結果を紹介していきます。
なお、本連載では、国際労働機関(ILO)の統計データベースから引用した情報通信業の就業者の平均年収と、企業の給与などに関する情報を収集・提供している「PayScale」より引用した「Software Engineer」の給与データを活用しています。
◆世界92カ国のレポートは、下記にて公開しています
「92 カ国をデータで見みるITエンジニアレポートvol.2 世界各国のIT技術者給与まとめ」
URL:https://git.resocia.jp/info/post-developers-around-the-globe-survey-salary/
※本連載では、下記計15カ国を北米・中南米として調査していきます(※略称、順不同、カナダについては収集データが少なく除外)
米国、ブラジル、メキシコ、アルゼンチン、チリ、ペルー、エクアドル、ボリビア、グアテマラ、ドミニカ共和国、コスタリカ、ウルグアイ、ホンジュラス、エルサルバドル、パナマ
※IT技術者は、情報通信業に就業しており、国際標準職業分類 で「専門職」「技師、准専門職」に分類された人としています
※情報通信就業者とは、IT技術者に限らず、情報通信業にて就業している人を指します。そのため、人事や管理部門など、様々な職種の人が含まれます
IT技術者給与、米国は日本のほぼ2倍と際立つ高さ
米国と中南米14カ国の情報通信業就業者および「Software Engineer」の給与(年収)を集計したものが、図表①「情報通信業就業者とIT技術者の給与~米国・中南米編」です。
まず、IT技術者の給与(オレンジ)を見ていきたいと思います。
米国のIT技術者の給与(年収)は83,389USドルと、中南米の国と比べ際立って高い結果となりました。また、42,464USドルである日本のほぼ2倍です。
中南米では、最も高いのはチリの30,000USドル、次いでコスタリカの27,329USドル、ペルーの21,900USドル、ブラジルの20,818USドルが続きました。
<出典>
国際労働機関(ILO)の統計データベースおよびPayScaleのサイトより検索したデータをもとに作成(検索日は2019年5月30日)
<情報通信業就業者の平均年収の情報年>
2018年:米国 2014年:アルゼンチン 2013年:メキシコ、他の国はすべて2016年
米国では、情報通信業に就くエグゼクティブ層が、IT技術者の給与を上回る
続いて、同じく図表①にて、情報通信業就業者の給与(平均年収)を見ていきたいと思います。
米国は93,920USドルで、やはり他の国と比べ飛びぬけて高いことがわかります。40,968USドルの日本との差は、2倍以上となりました。
また、中南米で情報通信業就業者の給与が最も高いのはコスタリカの19,260USドル、次いでパナマの16,392USドル、アルゼンチンの14,700USドル、ブラジルの11,952USドルとなりました。なお、IT技術者給与では中南米トップであったチリは、データが得られませんでした。
米国については、IT技術者の給与83,389USドルと比較すると、情報通信業就業者の給与の方が約10,000USドル高い結果となりました。これは、米国の情報通信業就業者の中には、IT技術者よりも高額な給与を得ているエグゼクティブ層(管理職等)が多いと推測できます。
また、情報通信業就業者とIT技術者の給与比では、エクアドルが2.4倍、メキシコが2.3倍、ブラジルが1.7倍と、IT技術者の給与が大幅に高いという結果となりました。これらの国では、IT技術者は他の職種に比べ、相対的に給与が高いと言えます。
IT技術者給与、米国は2.4%の伸びにとどまる
次に、IT技術者給与(平均年収)の伸び率(対データが収集できた直近年比)を見ることで、IT技術者の給与の伸びを見ていきたいと思います。なお、IT技術者(Software Engineer)では、時系列で比較可能なデータを得ることはできず、情報通信業就業者の年収データを比較した図表②「情報通信就業者の給与(平均年収)伸び率~米国・中南米編」で考察していきたいと思います。
これによると、米国の給与伸び率は2.4%となり、5.9%である日本より低い伸び率となりました。
また、中南米でデータが得られた国の中では、最も伸び率が高いのはドミニカの163.5%でしたが、何らかの統計上の要因があった可能性もあり、参考値としたいと思います。次いで、パナマの17.2%、ブラジルの8.4%となりました。
なお、情報通信業就業者の平均年収が最も高いコスタリカについても6.0%の伸びとなりました。幸福度指数で世界1位(英国のシンクタンク「ニュー・エコノミクス財団」調査)と言われるコスタリカはIT技術者の給与状況についても良好であるといえます。
一方、平均給与が下がっている国は、はホンジュラスの▲28.0%、エクアドルの▲10.4%、アルゼンチンの▲10.0%、ウルグアイの▲3.4%、メキシコの▲1.2%でした。
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