IT技術者給与、地域1位はオーストラリア、伸び率1位はタイ
これまで第1回~5回にかけて、世界92カ国のIT技術者数について調査した結果をご紹介してきました。第6回から10回にかけては、IT技術者の給与について統計データなどを用いて分析した結果を、地域毎にご紹介します。
今回の第6回では、811万6千人のIT技術者が就業しているアジア・オセアニア20カ国におけるIT技術者の給与について、ご説明したいと思います。
なお、本連載では、国際労働機関(ILO)の統計データベースから引用した情報通信業の就業者の平均年収と、企業の給与などに関する情報を収集・提供している「PayScale」より引用した「Software Engineer」の給与データを活用しています。
残念ながら、中国と並ぶIT大国インドやオーストラリアの情報通信業就業者の平均収入等、一部のデータについては確認できませんでした。
◆世界92カ国のレポートは、下記にて公開しています。
「92 カ国をデータで見みるITエンジニアレポートvol.2 世界各国のIT技術者給与まとめ」
URL:https://git.resocia.jp/info/post-developers-around-the-globe-survey-salary/
※本連載では、下記20の国・地域をアジア・オセアニアとして調査していきます(※略称、順不同)。
中国/インド/日本/韓国/インドネシア/フィリピン/オーストラリア/ベトナム/台湾/パキスタン/タイ/イラン/マレーシア/バングラデシュ/香港/ニュージーランド/シンガポール/スリランカ/ミャンマー/カンボジア
※IT技術者は、情報通信業に就業しており、国際標準職業分類 で「専門職」「技師、准専門職」に分類された人としています。
※情報通信就業者とは、IT技術者に限らず、情報通信業にて就業している人を指します。そのため、人事や管理部門など、様々な職種の人が含まれます。
IT技術者の給与、地域トップはオーストラリア、給与面で有利な国はインドネシア
はじめに、アジア・オセアニアの国々の、IT技術者の給与を比較していきたいと思います。
図表①「情報通信業就業者とIT技術者の給与~アジア・オセアニア編」が、アジア・オセアニア20カ国の情報通信業就業者および「Software Engineer」の年収を集計したものです。
まずは、オレンジ色のIT技術者の給与を見ていきます。
IT技術者の給与(年収)が最も高いのは、オーストラリアの52,685USドル、次いでシンガポールの51,929USドル、ニュージーランドの44,836USドルとなりました。日本は42,464USドルで4位、香港の41,287USドルが5位と続きます。
なお、地域でIT技術者数トップの中国は26,716USドル、2位のインドは日本の2割以下となる6,594USドルとなりました。
<出典>
国際労働機関(ILO)の統計データベースおよびPayScaleのサイト上より検索して収集したデータより作成(検索日は2019年5月30日)
<情報通信業就業者の平均年収の情報年>
2016年:中国、日本、韓国、フィリピン、ベトナム、タイ、バングラデシュ、ニュージーランド、シンガポール
2015年:インドネシア、パキスタン、香港、ミャンマー、2012年:マレーシア、カンボジア
情報通信業就業者の給与、1位ニュージーランド、2位シンガポール、3位日本
次に、情報通信業就業者の給与(平均年収)を、同じく図表①で見ていきたいと思います(ブルー)。
地域で最も給与が高い国は、60,732USドルのニュージーランド、次いで2位が46,248USドルのシンガポール、3位は40,968USドルの日本、4位は40,860USドルの韓国と続きました。
続いて、IT技術者と情報通信業就業者の給与を比較してみたいと思います。
IT技術者の給与が、情報通信業就業者と比べ大幅に高い国は、インドネシア(5.6倍)、ベトナム(3.4倍)、タイ(1.9倍)などがあげられ、中国も1.5倍となりました。
これらの国は、発展途上であると同時にIT産業が急速に発展しており、他の職種に比べIT技術者の給与が大幅に上がっていると推測されます。つまりこれらの国では、IT技術者は他の職種比べ給与が相対的に高く、給与面で有利と言えます。
一方、日本(1.04倍)、パキスタン(1.05倍)、韓国(1.03倍)、マレーシア(0.97倍)では、情報通信就業者とIT技術者の年収差は大きくありませんでした。
IT技術者の給与伸び率、1位タイの38.3%、2位インドネシア11.8%、3位ベトナム7.9%
次に、IT技術者給与(平均年収)の伸び率(対データが収集できた直近年比)を見ることで、IT技術者の給与が伸びているかを見ていきたいと思います。なお、IT技術者(Software Engineer)では、時系列で比較可能なデータを得ることはできず、情報通信業就業者の年収データを比較した図表②「情報通信就業者の給与(平均年収)伸び率~アジア・オセアニア編」で考察していきたいと思います。
その結果、データが得られた10カ国の中で最も伸び率が高いのはタイの38.3%、次いでインドネシアの11.8%、ベトナムの7.9%となりました。この3カ国は、図表①にて、IT技術者の年収が情報通信業就業者より大幅に高かった国でもあります。
一方、マイナスとなったのはシンガポールの▲3.6%、マレーシアの▲0.4%の2カ国となりました。
また、中国の伸び率は2.5%と、給与が大きく上がっているとは言えない結果となりました。
なお、全般的に給与所得が伸び悩んでいると言われている日本の伸び率は、5.9%となりました。
<出典>国際労働機関(ILO)の統計データベースより作成
<情報年>図表①と同じ
◆世界92カ国のレポートは、下記にて公開しています
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