第14回:世界各国のIT分野の卒業者数は?~東・北ヨーロッパ編~
第15回:世界各国のIT分野の卒業者数は?~中央・西アジア、アフリカ編~
第12回:世界各国のIT分野の卒業者数は?~米国・中南米編~
これまで、将来IT技術者となりえるIT分野の卒業者数について、アジア・オセアニア、米国・中南米地域の調査結果をご報告してきました。続いて第13回では、西ヨーロッパ・南ヨーロッパについて、情報通信技術関連を専攻した卒業者数と、AI(人工知能)やビッグデータ解析などで重要となるSTEM関連分野について、科学・数学・統計学などを専攻した卒業者数の調査結果をお知らせします。なお、本連載では、経済協力開発機構(OECD)や国際連合教育科学文化機関(UNESCO)の統計データなどを元に分析しています。※本連載では、下記西ヨーロッパ9カ国、南ヨーロッパ10カ国を調査しています(※略称、順不同)西ヨーロッパ:英国、ドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、スイス、オーストリア、アイルランド、ルクセンブルク南ヨーロッパ:スペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャ、セルビア、クロアチア、スロベニア、北マケドニア、マルタ、モンテネグロ※情報通信技術分野専攻の卒業者数については、OECDおよびUNESCOの統計データより、短大等を含む大学(学士、修士、博士)の卒業者数を引用しています※科学・数学・統計学専攻の卒業者数については、OECDおよびUNESCOの統計データより、短大等を含む大学(学士、修士、博士)のNatural sciences, mathematics and statistics専攻の卒業者数としています
まずは、IT先進国が多い西ヨーロッパ9カ国について、IT分野を専攻した卒業者数を見ていきたいと思います。図表①の情報通信技術関連を専攻した卒業者数を見てみると、イギリスが2万7,298人で最も多く、次いでドイツが2万5,332人、フランスが2万3,429人となりました。給与編にて、IT技術者給与が世界トップクラスであったスイス(※参照「92カ国をデータでみるITエンジニアレポートvol.2」)は、2,054人でした。なお、西ヨーロッパ9カ国の合計は、9万人強となりました。
出典:OECD. Statより作成※情報年は2016年※短大等を含む大学(学士、修士、博士)の情報通信技術分野専攻の卒業者数
続いて、各国のIT技術者の需給バランスを見る参考として、IT技術者に対するIT分野を専攻した卒業者数の割合を見ていきたいと思います。この数値が高いほど、新たにIT技術者となりえる卒業者が多く輩出されており、IT技術者の供給力が高いと推測できます。なお、各国のIT技術者数については、連載の「第3回:世界各国のIT技術者数~西・南ヨーロッパ編~」での調査結果を使用しています。図表②にあるように、最も高いのは、アイルランドの5.4%となりました。次いで、フランスの4.2%、オーストリアの3.6%が続きました。上位3カ国はいずれも、3.1%である日本を上回っています。なお、地域で最も卒業者数が多いイギリスは2.9%、2番目のドイツは3.0%となりました。
※出典および情報年は図表①と同じ
次に、情報通信技術分野を専攻した卒業者数の増加率を、時系列でデータが取得できた直近の前年比にて算出した図表③を見ていきたいと思います。これによると、地域で最も増加率が高いのはベルギーで、50.3%も増加しています。次いでオランダが11.3%、アイルランドが4.7%となりました。一方、卒業者数が最も多かったイギリスは2.1%増、同2番目のドイツは2.3%増、同3番目のフランスは1.8%増となり、いずれも微増にとどまりました。
次に、今後AI(人工知能)やビッグデータの解析等において重要となる科学・数学・統計学などを専攻したSTEM関連分野の卒業者数を、図表④にて見ていきたいと思います。地域で最も卒業者が多いのは、イギリスの10万2,303人となりました。続いてフランスが5万8,992人、ドイツが5万2,672人となりました。これら3カ国はいずれも、約3万人である日本を大きく上回っています。西ヨーロッパ9カ国の合計は24万2,537人で、ルクセンブルクを除くすべての国で、IT分野よりSTEM関連分野の方が多いという結果となりました。米国でも同様の結果が出ており、IT先進国と呼ばれる国では、STEM関連分野の教育が盛んであると言えるかもしれません。
※出典および情報年は図表①と同じ※短大等を含む大学(学士、修士、博士)のNatural sciences, mathematics and statistics専攻の卒業者数
続いて、科学・数学・統計学分野を専攻したSTEM関連卒業者数の増加率を、時系列でデータが取得できた直近の前年比にて算出した図表⑤にて見ていきたいと思います。増加率が最も高いのはルクセンブルクの22.4%、次いでオランダの6.6%、フランスの6.5%となりました。地域で卒業者数が最も多いイギリスは3.3%の増加、3番目のドイツは▲1.9%の減少となりました。
※出典および情報年は図表④と同じ
続いて、南ヨーロッパ10カ国に目を向けていきます。各国の情報通信技術分野を専攻したIT分野の卒業者数をまとめた図表⑥によると、この地域で最もIT技術者数が多いスペイン(参照「第3回:世界各国のIT技術者数~西・南ヨーロッパ編~」)が1万6,999人で、地域で際立って多い結果となりました。2位はIT技術者数ではスペインとほぼ同数のイタリアの3,653人、そしてセルビアが2,780人と続きました。なお、南ヨーロッパ10カ国の合計は約3万人となりました。
<出典および情報年>※スペイン、イタリア、ポルトガル、ギリシャ、スロベニア:OECD. Stat、情報年はすべて2016年※セルビア(2017年)、マルタ(2016年)、クロアチア(2016年):UNESCOstat、カッコ内は情報年※短大等を含む大学(学士、修士、博士)の情報通信技術分野専攻の卒業者数
各国のIT技術者の需給バランスを見る参考として、IT技術者に対する情報通信技術分野の卒業者数の割合を、図表⑦にて見ていきたいと思います。南ヨーロッパで最もこの割合が高いのは、5.7%のセルビア、次いで、5.6%のマルタ、4.6%のクロアチアとなりました。なお、地域で最も卒業者数の多いスペインは3.8%で、3.1%である日本を上回っています。
※出典および情報年は、図表⑥と同じ
次に、情報通信技術分野を専攻した卒業者数の増加率を、時系列でデータが取得できた直近の前年比にて算出した図表⑧で見ていきたいと思います。南ヨーロッパにて最も増加率が高いのはスロベニアで、66.3%に上りました。次いでギリシャの11.4%、セルビアの8.4%が続きました。なお、卒業者数が最も多いスペインは▲2.0%の減少、2番目のイタリアは▲67.1%も減少しているという結果となりました。
次に、科学・数学・統計学などSTEM関連分野を専攻した卒業者数について、図表⑨にて見ていきたいと思います。地域で最も多いのは、イタリアの2万7,734人、次いでスペインで2万2,638人となりました。いずれも約3万人の日本を下回っています。なお、南ヨーロッパ10カ国の合計は、6万6,317人となりました。
※出典および情報年は、図表⑥と同じ※短大等を含む大学(学士、修士、博士)のNatural sciences, mathematics and statistics専攻の卒業者数
続いて、科学・数学・統計学関連を専攻した卒業者数の増加率を、時系列でデータが取得できた直近の前年比にて算出した図表⑩にて見ていきたいと思います。卒業者数が最も増えているのは、IT分野と同じくスロベニアで、26.6%の伸びとなりました。なお、STEM関連分野の卒業者数が地域で最も多いイタリアは0.37%増、2番目のスペインは1.8%増と、ほぼ横ばいでした。
※出典および情報年は、図表⑨と同じ
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