派遣スタッフの働き方改革および労働関連法に関する実感調査を実施

2018年4月から本格化する無期雇用転換、「前向きに検討」は2割、6割は「条件により検討」

 ヒューマンホールディングス株式会社の事業子会社で人材サービス事業を運営するヒューマンリソシア株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:御旅屋 貢)は、政府による働き方改革の推進をはじめとした労働環境の変化や、労働契約法による5年無期転換ルール、労働者派遣法による派遣期間3年ルールの適用など、派遣スタッフにとって働き方が大きく変わる可能性があることを受けて、派遣で働く20代~40代の女性を対象に働き方改革および労働関連法に関する実感調査を実施しました。
 
 調査の結果、派遣スタッフは「働き方を選べる」ことをメリットとしていることが分かりました。また、現在、働き方改革の影響はないと答えた人が大勢を占め、改革の実感が乏しいことが分かりました。一方、今後働き方改革が自身の働き方に影響するかについては回答が分かれました。さらに、無期雇用への転換については、「条件により検討」が半数以上を占め、賃金アップを中心とした待遇面の改善が求められていることも明らかになりました。
調査結果のポイント
■現在の派遣での働き方に満足している人は45%、メリットは「働き方を選べる」こと
■9割が働き方改革の影響感じず、今後の期待は意見分かれる
■4月以降本格化する無期雇用転換、「希望する」は24%のみ。6割が「条件により検討」

 
【調査概要】
調査期間:2017年12月15日~12月25日
有効回答:937人
調査方法:インターネットによるアンケート調査
対象者:20代~40代の女性で、現在派遣で働いているもしくは、直近6ヵ月以内まで派遣で働いていた人
 
 

現在の派遣での働き方に満足している人は45%、メリットは「働き方を選べる」こと

 派遣で働いている人に、現在の働き方に満足しているかを聞いたところ、「非常に満足」と回答した人が9.2%、「やや満足」と回答した人は35.9%で、合計で45.1%の人が満足している結果となりました。一方、「非常に不満」は7.6%、「やや不満」は18.0%で、4人に1人が不満を抱いていることが分かります。「どちらともいえない」と回答した人は29.3%となりました。
 現在の派遣での働き方に満足しているか
  また、派遣という働き方を選んだ理由について聞いたところ、「すぐに仕事に就ける」が最も多く、39.5%の人が選択しました。次いで、「勤務地を選べる」が34.6%、「正社員での仕事が決まらないため」が33.7%、「働く時期や期間を選べる」が33.6%と続きました。
 
派遣という働き方を選んだ理由

 さらに、派遣を選んだ理由を満足度別に見てみると、「非常に満足」および「やや満足」を選択した人は、「時期や期間」(41.9%)、「時間や時間帯」(40.8%)、「勤務地」(38.2%)、「残業の有無」(35.5%)、などの働く条件のほか、「職場の人間関係や組織に拘束されない」(33.2%)などを上位にあげています。このことから、働き方を自身で選べることにメリットを感じていることが分かります。一方、「やや不満」もしくは「非常に不満」を選択した人では、52.9%が「正社員での仕事が決まらないため」、42.9%が「すぐに仕事に就けるため」を派遣で働く理由として挙げており、正社員として就職するまでのつなぎとして派遣を選んでいる傾向が伺えます。

派遣という働き方に満足している人が、現在の働き方を選んだ理由う
 
派遣という働き方に不満な人が、現在の働き方を選んだ理由う
 

9割が働き方改革の影響感じず、今後の期待は意見分かれる

 派遣で働いている人に、政府が進める働き方改革による変化や影響があるかを聞いたところ、「影響・変化はない」が86.3%と9割近くにのぼり、「影響・変化があった」と回答した人は13.7%と1割強に留まりました。「影響・変化があった」と回答した人に、残業、休みの取りやすさ、業務量、賃金それぞれの項目についての変化を聞いたところ、「残業が減った」と回答した人は37.5%、「休みがとりやすくなった」と回答した人は27.3%でした。一方、業務量が「増えた」と回答した人は21.9%、賃金が「減った」と回答した人は17.2%となりました。残業が減り、休日が取りやすくなった一方、賃金が減り、また、業務の負担が増えていると感じていることが伺えます。

働き方改革による影響・変化があるか
 
働き方改革における影響
 また、働き方改革により自身の働き方が良くなると思うかについて聞いたところ、「とても良くなると思う」が4.0%、「良くなると思う」が25.1%となる一方で、「良くなると思わない」が18.0%、「全く良くなると思わない」は9.3%となり、意見が分かれる結果となりました。最も回答が多かったのは「どちらともいえない」の43.6%で、働き方改革の実感がないことが影響していると考えられます。
 
働き方改革が進むことで、自身の働き方は良くなると思うか
 

4月以降本格化する無期雇用転換、「希望する」は24%のみ。6割が「条件により検討」

 2018年4月以降、派遣を含む有期雇用で働く人の雇用に大きく影響を与える改正労働契約法および改正労働者派遣法について、「内容まで知っており、自分に関係がある」と回答した人は30.6%に留まりました。一方で、「聞いたことがある程度」が34.7%、「知らない」が22.6%と関心が低いことが分かりました。「内容まで知っているが、自分には関係ない」は12.1%となりました。
 
労働関連法改正について内容を知っているか
 
 これらの法改正により、実態・気持ちいずれかの面で何かしらの影響や変化があったかを聞いたところ、約3割の人が、「何かしらの影響・変化があった」と回答しました。その変化については、「派遣では長期的に働けないと不安に感じるようになった」(64.1%)、「別の派遣元・派遣先を探し始めた」(20.6%)と、雇用の継続に不安を感じていることが伺えます。

労働関連法改正により、影響や変化があったか
労働関連法改正により、どのような影響・変化があったか
 
  さらに、改正労働契約法による5年無期転換ルールにより無期雇用の権利を得た際、無期雇用化を希望するかについて聞いたところ、6割以上が「条件によって検討する」と回答しました。「希望する」と回答したのは23.7%、「希望しない」と答えた人は7.1%となりました。

無期雇用転換の申込権利を得た場合、無期雇用化を希望するか
   
 無期雇用化を「希望する」と答えた人に、その理由を聞いたところ、「雇用が安定すると思うから」がトップで79.3%に上りました。そのほか、「ボーナスが支給されると思うから」が48.2%、「交通費が支給されると思うから」が28.8%など、待遇改善への期待が表れた結果となりました。

無期雇用化を「希望する」理由
 
   「条件によって検討する」と答えた人に、その条件について聞いたところ、「賃金が上がるのであれば」(49.2%)、「ボーナスが支給されるのであれば」(47.7%)と、金銭面での理由が最も大きいことが分かりました。そのほか、「無期雇用から正規社員になれるのであれば」(29.4%)、「これからも今の派遣先で働けるのであれば」(16.0%)、「職種が変わらないのであれば」(13.8%)といった安定雇用への要望も挙げられています。
 
無期雇用化を「条件によって検討する」理由
 
 無期雇用化を「希望しない」と答えた人に、その理由を聞いたところ、「賃金が上がるとは限らないから」が29.9%と一番多く、次いで「これからも今の派遣先で働けるとは限らないから」が23.9%、「派遣先(配属先)が選べるとは限らないから」、「責任が増えそうだから」、「ボーナスが支給されるとは限らないから」が17.9%となりました。
 
無期雇用化を「希望しない」理由
 
 このことから、無期雇用化を希望するかどうかに関わらず、賃金アップをはじめとした待遇改善への強い要望があることが分かります。また、同様に、安定した雇用についても根強い要望があることが分かりました。
 
 ヒューマンリソシアでは、上記調査結果を受け、無期雇用化をはじめとし、派遣スタッフがより安心して働ける環境づくりを目指して活動してまいります。
 
 
■5年無期転換ルールについて
同一の使用者(企業)との間で、有期労働契約が反復更新されて通算5年を超えたときに、労働者の申込みによって無期労働契約に転換されるルール。改正労働契約法(2013年4月施行)で定められ、5年後に当たる2018年4月から権利が発生する。
 
■派遣3年ルールについて
同じ派遣労働者を、派遣先の事業所における同一の組織単位に派遣できる期間が、3年が限度となる。改正労働者派遣法(2015年9月施行)で定められ、2018年10月から本格運用される。
 
■働き方改革について
政府は2016年に働き方改革担当大臣を新設。2017年3月に実行計画をまとめ、同一労働同一賃金、時間外労働時間の上限規制、個人の学び直しへの支援などの項目を盛り込んだ。
 

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