『建設HR』独自分析 2021年建設業界の人材動向と2022年予測

総合人材サービス会社のヒューマンリソシア株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:御旅屋 貢、以下「当社」)が運営する、建設人事のお悩みに寄りそうオウンドメディア『建設HR』は、人材不足が深刻な建設技術者について、2021年の人材需給動向をまとめ、独自分析レポートとして発表します。

本レポートは、厚生労働省が公表する「一般職業紹介状況」から、求人数、求職者数、そして有効求人倍率等を独自分析し、建設技術者は2022年も人材需給が逼迫すると推測しました。

【本件のポイント】

●2021年の建設技術者の人材需要は、特需に沸いた東京オリンピックを控えた2019年を上回る
●一方、建設技術職の求職者数は2021年5月以降減少傾向に
●有効求人倍率は高まる傾向が鮮明となり、2022年も人材が逼迫すると予測

2021年の建設技術者の人材需要、東京オリンピックを控えた2019年を上回る高水準で推移

過去3年間の建設技術者(建築・土木・測量技術者)の有効求人数について調査したところ、2021年は、現在公表されている10カ月すべてで、2020年を上回りました。また、2019年と比較しても、1月と7月の2カ月以外、求人数が上回りました(図表①)。

【図表① 建設技術者の有効求人数の月別推移】01

各年の平均有効求人数について、過去3年間を比較すると、2021年は58,705人で、2020年(同54,265人)を8.2%、2019年の(同58,373人)を0.6%上回りました(※1)。このことから、2021年の建設技術者の人材需要は、東京オリンピックに向けて工事量がピークに達していた2019年に匹敵する水準となりました(図表②)。

※1 各年の有効求人数を比較するため、平均有効求人数を算出しています。平均有効求人数は、2021年の「一般職業紹介状況」の最新データが10月まで公表されていることに合わせて、各年の1月から10月までの有効求人数の累計から算出しています。

【図表② 建設技術者の平均有効求人数の比較】02

建設技術者の有効求職者数、2021年5月以降減少傾向に転じる

建設技術者の有効求職者数について、過去3年間を月別に比較すると、2021年の有効求職者数は、10カ月すべての月で2019年を上回りました。増加傾向が続いていた有効求職者数も2021年5月以降は減少傾向に転じ、2021年8月以降は2020年を下回っています(図表③)。 今後、有効求職者数の減少傾向が続くことにより、人材供給が逼迫することが危惧されます。

<図表③ 建設技術者の有効求職者数の月別推移>03

各年の平均求職者数について、過去3年間を比較すると、2021年は9,767人で、2020年(同9,217人)を6.0%、2019年(同8,757人)を11.5%上回りました、このことから求職者数は増加傾向が続いていることが分かります(図表④)。

<図表④ 建設技術者の平均有効求職者数の比較>04※平均有効求職者数は、各年の1月から10月までの有効求職者数の累計から算出

建設技術者の有効求人倍率が高まり、人材需給は徐々に逼迫

建設技術者の有効求人倍率について、過去3年間の推移を月別に比較すると、2021年の有効求人倍率は、すべての月で2019年を下回りました。2020年比でも3月まで下回りましたが、2021年5月以降は前年同月の有効求人倍率を上回るようになり、人材需給が徐々に逼迫しています(図表⑤)。

<図表⑤ 建設技術者の有効求人倍率の月別推移>05

各年の平均有効求人倍率について、過去3年間を比較すると、2021年は6.01倍で、2020年(同5.90倍)を0.12ポイント上回るも、2019年(同6.55倍)は0.54ポイント下回りました。人材需給の逼迫度は2020年を若干上回るが、2019年ほどではない水準である状況が見えます(図表⑥)。

<図表⑥ 建設技術者の平均有効求人倍率の比較>06※平均有効求人倍率は、各年の1月から10月までの平均有効求人倍率の累計から算出
出典:図表①~⑥は厚生労働省「一般職業紹介状況」より作成

2021年のまとめと2022年の動向の考察

2021年の建設技術者の人材需要は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が3回も発出されたにもかかわらず、東京オリンピックに向けた建設工事がピークを迎えた2019年に匹敵する高水準で推移しました。一方求職者においては、増加傾向で推移しましたが、2021年5月以降は一転、減少傾向に転じています。その結果、2021年の建設業の人材需給は2019年ほど逼迫するには至りませんでしたが、2020年より厳しい状況となりました。

次に、2022年の動向について、厚生労働省の労働経済動向調査による労働者の過不足判断DI(Diffusion Index:不足と回答した事業所の割合から過剰と回答した事業所の割合を差し引いた値)から考察すると、建設技術者の過不足判断DIは、2020年8月の44ポイントから上昇傾向が続き、直近の2021年11月調査では63ポイントまで上昇して、2019年11月と同じ水準となっています(図表⑦)。このことから建設技術者の不足感は急速に高まっていることがわかります。

これらの調査結果から、2022年についても、建設技術者の人材需要は高まり続けることが推測されることに加え、コロナ禍の収束に伴い他産業の採用意欲が高まることで、2022年の建設技術者の人材需給は、さらに逼迫するのではないかと推測されます。

<図表⑦ 建設技術者の労働者過不足判断DIの推移>13b※出典:厚生労働省「労働経済動向調査」より作成

 

【本レポートの全文はこちら】
建設HR 独自分析レポート 建設業の人材需給動向(2021年の振り返りと2022年の動向予測)
建設技術者と建設技能工の人材需給動向を考察したレポート全文は、『建設HR』にてご覧いただけます。
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