~2023 年版:世界の建設人材と日本~
総合人材サービス会社で、建設業向けの人材派遣・人材紹介・海外人材派遣サービスを展開するヒューマンリソシア株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役:御旅屋 貢、以下「当社」)はこのたび、世界の建設人材について調査し、「世界の建設人材レポート2023」として発表しました。世界の建設業就業者が増加している一方、厳しい人材不足が続く日本の建設業では、就業者数および給与額は減少傾向、また65歳以上の就業者の割合が世界で最も高く、高齢化が懸念される結果となりました。
なお、本レポートは国際労働機関(ILO)の統計データにて「建設(Construction)」で就業している人を「建設人材」とし、各国の統計データ等を活用し調査しています。
【本件のポイント】
●世界の建設人材について129か国を調査
●建設業就業者数は世界で増加、一方日本の建設業就業者数は減少傾向で、給与額も減少
●日本の建設業は65歳以上の就業者の割合が世界で最も高く、高齢化が極めて深刻に
※出典元等の詳細は、本レポート最後に記載しています。
■世界の建設業就業者について
世界の建設人材について調査したところ、129か国の合計では、推計約1億8千万人が建設業で就業しています(図表1)。なお、日本で建設業で就業している人数は482万人で、世界8位規模でした。
また、建設業で就業している人は、最新年の数値と前年数値を比較可能な94か国において、年間約445万人増え、増加率は3.0%でした。国別では、インドが339.6万人増加(8.7%増)、ブラジルが84.3万人増加(13.8%増)、米国が47.4万人増加(4.2%増)しているほか、中国では117.2万人減少していますが、94か国中57か国で増加し、世界全体では建設業就業者は増加しています。一方日本は、前年である2020年より10万人減少(2.0%減)しています(図表2)。
■世界の建設人材と日本
続いて、世界各国と日本の建設人材について、全就業者に占める割合、給与水準、および年齢構成比について調査し、比較しました。
全就業者数に占める建設就業者の割合
業種を問わず、全就業者に占める建設業就業者の人数の割合を国別に調査したところ、世界で最も建設業就業者の割合が高いのはカタールの35.4%で、サッカーワールドカップのスタジアム建設が背景にあると予測されます(図表3)。また日本は7.2%で、G7構成国で比べると、比較的建設業就業者が多いと言えます(図表4)。
建設業就業者の年間平均給与額
建設業就業者における年間平均給与額を調査したところ、日本の建設業就業者の平均給与額は年36,430USドルで、データが取得できた107か国中、18位となりました(図表5)。なお、1位はアイスランド(82,116USドル)、2位はスイス(78,166USドル)、3位はオランダ(71,332USドル)と上位はヨーロッパ勢が占め、米国は8位(57,494USドル)、韓国は14位(41,823USドル)となりました。
また、日本の建設業就業者の年間平均給与額は対前年比で2.8%減少しました(図表6)。データを取得できた70か国の約6割にあたる41か国では給与は増加しており、世界的にみて日本の建設業就業者の給与が伸び悩んでいることが分かります。増加率では、1位はドイツ(54.0%増)、2位はキプロス(28.1%増)、3位はマルタ(25.9%増)となりました。
建設業就業者の年齢構成率
続いて、建設業就業者における65歳以上の割合を国別に確認したところ、日本は16.6%で、データを取得できた56か国の中で最も65歳以上の高齢者が占める割合が高い結果となりました(図表7)。
また、建設業における65歳以上の就業者数を取得できた56か国について、人口に対する高齢化率と、建設業における高齢化率を比較すると(図表8)、高齢化率が22.5%のギリシャでは建設業の高齢者の割合は1.9%、高齢化率21.3%のフランスは1.1%と、日本の建設業における65歳以上就業者の割合の高さが際立ちます。
■調査結果に関するコメント
世界と日本の建設人材について、就業者数、給与額、および年齢構成比を調査した結果、世界で建設業に携わる人は増えている一方、日本では建設業就業者数が減少傾向で、給与額も前年比で減っていることがわかりました。また特筆すべきは、日本は建設業就業者における65歳以上の割合が、調査対象の56か国のうち最も高く、日本の建設業では極めて高齢化が進んでいる点です。
なお、参考までに、日本の建設業就業者の高齢化の推移を「国勢調査」よりみると、建設業就業者における65歳以上の高齢者の割合は、2000年の6.3%から2020年の18.0%に大きく上昇しています(図表9、出典およびデータ取得年が異なるため、図表8の数値と異なります)。全ての業種を対象とした全就業者における高齢化率は15.1%であり、2000年からの推移を比較すると、日本の建設業は高齢化が急速に進展していることがわかります。
建設業界にもグローバル化の波が押し寄せる中、日本の建設業各社がグローバル市場にて存在感を発揮していくには、若者就業者の確保はもちろん、熟練技術や経験を持つシニア層の活躍推進や、海外人材活用など、多様な人材活用を軸とした人材戦略が必要になると考えます。
ヒューマンリソシア株式会社 コンストラクション事業部 事業部長 増子 洋行
<調査に関する出典/備考>
1) 建設業就業者数について
・国際労働機関(ILO)のデータベースにて、建設業就業者(Construction)に分類された人としています。なお、2022年12月調査実施時に公表されている最新データを使用しています。
・中国は中華人民共和国国家統計局の公表データを使用しています。
・図表9については、日本の国勢調査のデータを使用しています。
2) 就業人口について
・国際労働機関(ILO)のデータベースより、全就業者数を使用しています。
3) 平均年間給与額について
・国際労働機関(ILO)のデータベースの平均月収(Average monthly earnings)を年収に換算しています。
4) 調査対象とした129の国・地域(略称、カッコ内は最新データ取得年)
<アジア・太平洋地域> 中国(2020年)、インド(2019年)、日本(2021年)、韓国(2021年)、インドネシア(2021年)、フィリピン(2020年)、ベトナム(2021年)、台湾(2020年)、パキスタン(2021年)、タイ(2020年)、マレーシア(2020年)、バングラデシュ(2017年)、香港(2021年)、シンガポール(2021年)、スリランカ(2019年)、ミャンマー(2020年)、カンボジア(2019年)オーストラリア(2020年)、ラオス(2017年)、ブルネイ(2020年)、モンゴル(2020年)、ブータン(2020年)、モルディブ(2019年)、ネパール(2017年)、フィジー(2016年)
<北米・中南米> アメリカ(2021年)、ブラジル(2021年)、アルゼンチン(2021年)、チリ(2021年)、ペルー(2021年)、エクアドル(2021年)、ボリビア(2021年)、ドミニカ共和国(2021年)、ウルグアイ(2021年)、コロンビア共和国(2021年)、ジャマイカ(2020年)
<ヨーロッパ> イギリス(2019年)、ドイツ(2021年)、フランス(2021年)、オランダ(2021年)、ベルギー(2021年)、スイス(2021年)、オーストリア(2021年)、アイルランド(2021年)、ルクセンブルク(2021年)、スペイン(2021年)、イタリア(2021年)、ポルトガル(2021年)、ギリシャ(2021年)、セルビア(2021年)、クロアチア(2021年)、スロベニア(2021年)、北マケドニア(2021年)、マルタ(2020年)、モンテネグロ(2020年)、アルバニア(2019年)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(2021年)、コソボ(2020年)、ロシア(2021年)、ポーランド(2021年)、ウクライナ(2017年)、ルーマニア(2021年)、チェコ(2021年)、ハンガリー(2021年)、ベラルーシ(2021年)、ブルガリア(2021年)、スロバキア(2021年)、モルドバ(2021年)、スウェーデン(2021年)、デンマーク(22021年)、フィンランド(2021年)、ノルウェー(2021年)、ラトビア(2021年)、リトアニア(2021年)、エストニア(2021年)、アイスランド(2021年)、ジョージア(2020年)、キルギス(2021年)、アルメニア(2020年)、キプロス(2021年)、アゼルバイジャン(2021年)、カザフスタン(2017年)、タジキスタン(2018年)、ウズベキスタン(2020年)
<中東> トルコ(2020年)、イスラエル(2017年)、アラブ首長国連邦(2021年)、イラン(2020年)、カタール(2020年)、ヨルダン(2020年)、オマーン(2021年)、イラク(2021年)、クウェート(2016年)、パレスチナ(2021年)、アフガニスタン(2021年)
<アフリカ> エジプト(2020年)、エチオピア(2021年)、ガーナ(2017年)、セネガル(2019年)、モーリシャス(2021年)、ザンビア(2020年)、ルワンダ(2021年)、マリ(2020年)、タンザニア(2020年)、ウガンダ(2017年)、ケニア(2019年)、ブルキナ・ファソ(2018年)、コートジボワール(2019年)、カーボベルデ(2019年)、ニジェール(2017年)、シエラレオネ(2018年)、トーゴ(2017年)、ボツワナ(2020年)、レソト(2019年)、ナミビア(2018年)、ブルンジ(2020年)、ベナン(2018年)、アルジェリア(2017年)、ガンビア(2018年)、ギニアビサウ(2018年)、リベリア(2017年)、モーリタニア(2019年)、ソマリア(2019年)、エスワティニ(2016年)、セーシェル(2020年)、チャド(2018年)、チュニジア(2017年)、ジンバブエ(2019年)、南アフリカ(2021年)
5) その他
・調査結果の構成比は、小数点以下を四捨五入して算出しているため、合計値は必ずしも100%とはなりません。
・建設就業者数の世界計は、百人以上の合計値で算出しています。
ヒューマンリソシアについて
総合人材サービス会社として、人材派遣、人材紹介、業務受託サービスを全国27拠点で展開しています。1988年創業以来、教育事業をバックボーンに多彩なサービスを展開するグループの総合力を活かし、「人材」に関する幅広いサービスを提供しています。
●ヒューマンリソシアWEBサイト: https://resocia.jp
ヒューマングループについて
ヒューマングループは、教育事業を中核に、人材、介護、保育、美容、スポーツ、ITと多岐にわたる事業を展開しています。1985年の創業以来「為世為人(いせいいじん)」を経営理念に掲げ、各事業の強みを生かし、連携しながらシナジーを最大限に発揮する独自のビジネスモデルにより、国内300拠点以上のネットワークでお客様に質の高いサービスを提供しています。
●ヒューマンホールディングスWEBサイト: https://www.athuman.com/
会社概要
ヒューマンリソシア株式会社
●代表取締役: 御旅屋 貢
●所在地: 東京都新宿区西新宿7-5-25 西新宿プライムスクエア1階
●資本金: 1億円
●URL: https://resocia.jp
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ヒューマンリソシア式会社 広報担当 吉田
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■ヒューマングループに関するお問い合わせ■
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